こんにちは!
今日はこんなことを書きたいと思います。JAMSTECの堀井孝憲さんが主著者で3 月 13 日に公開されたばかりの論文「2017 年 12 月にスマトラ島南西で観測された大規模風力に対する海洋の生物物理応答」を紹介します。僕(モテサク)も研究チームの一員として名前を載せてもらいました。
「風が弱いのに魚が集まる?」というギモン
海の栄養分は、ふつう**“湧昇(ゆうしょう)”**と呼ばれる現象で運ばれます。岸に沿って風が強く吹くと、下から冷たい水がグッと湧き上がり、植物プランクトンがモリモリ育ちます。ところが 2017 年 12 月のスマトラ島沖では、湧昇に向かない北西風が吹いていたのに、海の中ではプランクトンの元気な信号がドーンと観測されました。うーん、なぜ?
一般論への「ちょっと待った!」
教科書的には「強い沿岸風=栄養アップ」と覚えます。でも、
「遠くの風が海を動かすこともあるのでは?」
「表面は何も起きてなくても、深いところでは大変身しているかも?」
という視点が抜けがちです。今回の研究は、そこに切り込みました。
研究の3ステップ
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28 日間のがっつり定点観測
JAMSTECの観測船「みらい」がスマトラの沖合 90 kmに停泊し、3 時間おきに水温・塩分・栄養塩・クロロフィルを計りました。おかげで、海の“呼吸”を時間ごとに追いかけられました。
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サーモクライン※が浅くなった!
途中から「暖かい表層」と「冷たい深層」を分ける境目(サーモクライン)が約 20 mも持ち上がりました。これで深い栄養分が光の届く層に近づき、プランクトンが増えたのです。
> ※サーモクラインをざっくりいうと、「温度が急に変わりだす深さの境目」です。
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犯人は遠くの“ケルビン波”
12 月上旬、赤道インド洋の真ん中で吹いた東風が海面をぺちゃんこに押しました。この刺激がケルビン波となって東へ進み、スマトラ沿岸で海面を下げ、サーモクラインを持ち上げました。つまり「遠隔操作」で栄養分がアップしたわけです。
「ケルビン波って何?」を3行で
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地球が自転する影響で、海の中の大きなうねりが移動するしくみです。
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赤道上や島の沿岸に沿って東に進みます。
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だからインド洋の“遠い場所で吹いた風”の影響でもスマトラ島沿岸の海を揺さぶれるのです。
衛星には映らなかったヒミツ
「じゃあ衛星写真で見えたの?」と思うかもしれませんが、答えはNO。雲が多くて光学衛星が使えず、プランクトン増加は“海の中”限定イベントでした。現場観測の大切さがよくわかります。
とはいえ、まだナゾも
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どうして栄養分が出たのに表面クロロフィルは弱めだったのか?
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ケルビン波と局地風が合体したら、もっと大きな湧昇になるのか?
答えはこれからの課題ですが、「遠隔風×波×海の層構造」のタッグがカギだとわかりました。
というわけで
「教科書でよく知られた現象」がいつも成り立つとは限りません。条件によっては、遠く何千キロも離れた場所で吹いた強風が“海の中の大きなうねり”を作って、海中の栄養ポンプを駆動し、魚たちの食卓を整えることだってある、そんなことを調べた研究です。
スマトラ沖のプランクトン騒動は、“見えない力が海を生かす”という新しい視点をくれました。次に海を眺めるとき、水平線の向こうから届く波のメッセージに思いをはせてみませんか?それだけで、ちょっとワクワクする海の授業が始まります。
というブログを有名ブロガーの「けんすう」さん風にしてもらうようにChatGPTに頼んで書いてみました。
原著論文の出典リンクはこちらです。
よかったら読んでみてください!
上記の内容をClaude でグラフィックレコードにしてもらったサイトがこちらです。