天気図っていうスゴイ紙芝居
天気図、って読めますか?
あの、地図の上にさらにゴチャゴチャと線がひっぱってあるナゾなシロモノ。
今回は、それを読めるようになろう、そのためには、実際に描いてみるのが早いから、ちゃちゃっとマスターしちまおう!、っていう内容です。
んなもん、なんで読めなきゃいけないの?そー思ってる人が世の中ほとんどかもしれない.
今どきスマホのお天気アプリで今日のお天気なんて一発で分かるし、いらねーじゃん?っていう。
数日先の予報だってちゃんと見れるしね。
が、しかしだ。
天気図を読めない人と読める人では、「天気に振り回されてる」感が全然違うのだ。
読めてる人は、読めない人よりも断然「振り回されてる」感が小さくなる。
これ、なんでだと思う?
両者の違いは、ドラマ展開の捉え方にあるんだ。
天気図を読まないで、自分の真上の空模様だけ気にしてると、それは点でしか展開を捉えてないわけ。
予報がちょっとでも外れようものなら、
「うわ!雨の予報じゃなかったよな?!なんだよ気象庁、使えねえな!ついてねーな、最近。。。」みたいな。
ま、そんなかつてのモテサクほどダサいセリフは言わないかもしれないけど、
「振り回される」っていうのは思ってる以上にムダな弊害が大です。
一方、天気図読める人は、日本付近全体の空がどんな展開を見せているか、
その中で自分の真上の空がどうなってるのか、
っていう立体的な捉え方が無意識にできちゃってるのです。
天気図、ってのは、その日その日の空の様子を描いた紙芝居みたいなもんです。
読める人は、一瞬で日本を囲む3000km四方くらいの空の様子を感覚的に捉えてしまいます。
それってスゴくない?
こんなスゴイ紙芝居、読めるようになったら、
特に盛り上がってくる(天気が下り坂になる)展開なんかだと、
ストーリーが面白すぎて目が離せなくなります。
今の場面がドラマの始まりなのか、中盤なのか、クライマックスなのか。
それをいつでも掴めるように、
典型的な天気図に現れる主要な登場人物の生い立ちと性格を知っとこーぜ、
っていうのが今回の内容なわけ。
どう?やってみます?
その土地を想像しながら
世界には,365日,ず~~~っと休むこと無く天気を測り続けてる場所が2万点以上あります.
それ全部,ってわけじゃないけど,
日本の周りで大事な53地点+たまたまそこにいた8隻の船の位置が
今回使う例ではすでに白地図に描いてあります.
その各地点の丸印に天気記号が描かれてるよね?白地図の左下に凡例が出てるけど,大体知っとくといいのは,
この辺ですね.低気圧・高気圧・前線の位置に対して,どんな地点でどんな天気になってるか,それは予想通りか,意外なのか,その土地を想像しながら眺めてみてください.
その天気記号の周りに他にもいくつか数字や記号があります.
風の向き,この場合だと南風ね.16方位でよろしく.風の強さ,ん?風力3?ってことは,m/sにすると・・・.
左側の数字,右側の数字は,それぞれ気温(℃),気圧(hPa)の下二桁だけ.
これが合計61点,白地図上に描かれてるのをもとに,その日の空のドラマを描いていこう.
どの登場人物がどこからどこへ向かおうとしているのか,
この記号の組み合わせから,必ず世界共通で通じるストーリーが浮かびあがる.
それって結構スゴくない?
水面の高さをイメージしよう
次に,台風,低気圧,前線,高気圧といった主な登場人物の中心位置,
お互いの位置関係を観てみよう.
これってつまり,真上から見た視点で,
水面が浅くなってる谷底,
水面が盛り上がってる山のてっぺんが,
およそどの辺にあるのか,っていうのを示してるわけね.
前線っていうのは,谷底に向かう斜面が両側にある沢のようなものだってのもイメージできるとしたら,あなたは相当センスいいです.
ま,地形の地図の上に,大気の厚さの地図を重ねよう,
っていうややこしい部分はあるので,文字だけではピンとこないかもね.
やってみれば簡単なんでご安心ください.
結局は,地形図と描き方おんなじだったりしてね
最後に,等圧線.今日の白地図に足りてないのが,等圧線なのね.
これをエンピツで描いていこう,ってのがよくやるトレーニングです.
天気記号や低気圧・高気圧はペンで描くけど,等圧線だけは,消しゴムで消して修正できるようにエンピツで描きます.
ルール1:
4hPaおきに引いていく.20hPaおきに太くする.
ルール2:
折れ曲がったり,不自然な凹凸はナシで.地形図の等高度線と基本は同じ.
ルール3:
隣り合う等圧線同士は,急に狭まったり,広がったりしません.当然,交わるのも分岐するのもナシ.
これら3つのルール以外に,描きながら感覚的に身につけていくコツを3つ.
コツ1:
一本目の等圧線は既に描かれてるので,その隣で,観測点の多い方から描いていこう.できるだけヒントの多いものからとりかかると見通しがいいよ.
コツ2:
観測点の多いところでは厳密に従いすぎるとデコボコしてしまうこともあります.実は四捨五入などの誤差も結構あるので,「線がなめらかになること」を優先して,美しいと感じる曲線を描きましょう.この辺は各自の感性にまかせます.とにかく,水面のなめらかな斜面を表現したいんだ,ってことをイメージしてください.
コツ3:
超重要なのが,観測点の少ないところをどうやって補うか?ってこと.内挿と外挿を駆使してクリアしていこう!え?内挿・外挿なんて知らん?そーか・・・そこはモテサクの解説を待つか,ググってみるか.どっちが早いかな.
んで,結局,色んな線を描いて完成させるわけですが,読み取りたいのは,大きく谷と山がどこなのか,っていう感覚.
斜面は,どっちからどっちに降りて行ってるのか,
緩斜面,急斜面,川床,河川敷,地形に具体的に置き換えると,
「水は低きに流れる」
ことが読み取れるはずです.
上の写真は,東京学芸大の授業での一コマ.こんな感じで授業してます.
つまり,水とは「雨雲」のこと.
「雨雲は低きに集まる」
だから自分の住む場所に雨雲が集まってくるのか,
流れて散っていくのか,
それで天気予報ができてるわけです.
だから,天気図の見方を知っている人は,
天気予報が自分でデキる
という感覚になれるし,実際ある程度できます.
東京学芸大の授業の動画も参考にしていただくと,割とカンタンに描けることが分かってもらえるかと思います.