インプットとアウトプットのあいだに 〜情報を理解に変えるプロセス〜

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先日,海上自衛隊で海洋観測と天気予報の関係について,
話させて頂く機会がありました.
「海と空のあいだに 今日もつゆの雨が降る」

スライドはコチラ 
メイントピックは,
「天気図での着眼点」
「海洋観測の重要性」
「豪雨と海洋の関係」
という3つにしました.
時間は1時間半頂いたのですが,
スライドはざっくりした図が
28枚だけ.
今回は,あることに挑戦したかったから,
スライドを極力減らしました.
やりたかったのは,
一方的に話すプレゼンではなく,
聴衆同士で話し合ったり,
意見のある人が前に出てきて話したり,
というスタイルです.

このスタイルのモデルとしたのは,
アクティブ・ラーニング代表の
羽根拓哉さんによる下記動画です.

「社会人基礎力_FD教える技術
No.1-14 人間力を向上させる新教育手法」

この動画は,テーマもとてもためになりますが,
そもそも話を聞いている相手の脳を如何に
活性化させるか,という実践的な方法が,
たくさん出てきます.

例えば,僕が今回真似をしたのは,

「梅雨の予報精度が悪いのは何故なのか?」

という問いを一つたて,
座っている隣同士でペアになって数分間,
話し合ってもらう,というものです.

答えなんか僕も知りません,
みなさんがどう思うか,
そう思ったことがなかった,でもいい,
何故そうなのか,
自由に話し合って下さい,
という時間を作りました.

数分間のペアディスカッションの後に,
実際どんな話をしたか,全体と共有して下さい,
というとすんなり意見が出てきます.

話を聞く,というインプットだけだと,
人の脳は,一時的な記憶領域にしか,
情報が入りません.

そして,得た情報が一時記憶にしか入らないと,
その90%近くが失われてしまうんだそうです.
しかし,インプットしたことを
すぐに誰か他者に対してアウトプットすると,
脳の一時記憶から主記憶へと情報が移されるので,
理解の度合いが全く違ったものになります.
ここで,ノートに書く,というのも
一つのアウトプットですが,それよりも,
自分の言葉を理解してくれない他者に,
一生懸命アウトプットする方が
圧倒的に記憶を定着させる効果があるそうです
羽根さんの動画で脳の仕組みに基づく解説が
されているので是非動画を見ながら真似してみて下さい.

今回初めて試してみましたが,
とってもカンタンで,かつ,
効果的です.

ちなみに羽根さんは,こうしたワザを数々生み出し,
ハーバード大で,「優秀教育者賞」までとっています.

他にも極めて合理的でシンプルなワザが満載です.

教育に興味がある方,
プレゼンに興味がある方,
自分の理解力を深めたい方,

必見です.

motesaku
気象楽者 海洋研究開発機構 研究員 東京学芸大学教員養成課程 非常勤講師(地学実験・気象楽プログラム担当) 39歳 気象楽者。 2012年「梅雨前線の正体(東京堂出版,2015年現在3刷り)」を上梓し、気象学を童話的ストーリーで「文系だから・・・」と苦手意識を持つ人達にこそ伝え、楽しみ、共に考える取り組みを始める。 しかし、ただ親しみ、楽しむだけでは、天気・気象に「受け身」のまま、情報に振り回されてしまう人が多いことに気付き、「能動的」に天気と付き合い、向き合うための活動として、「サイエンスパフェ」を始める。 2013年「天気と気象についてわかっていることいないこと(ベレ出版)」を上梓し、気象学と日常生活を楽しみながら能動的に結びつけるための方法を提案する。 2014年4月「ニコニコ超会議・ニコニコ学会β」に登壇し、4万人の視聴者の前で「JAMSTEC・・・大丈夫か」と心配される。 NHK教育テレビ「学ぼうBOSAI」の出演・製作を経験し、災害情報発信の在り方を模索する中、講演依頼の増加に伴って、全ての人が災害を倒すためにできることに向き合う「災害バスターズプログラム」を立ち上げる。 生い立ちや赤裸々なプライベートはこちらを。 モテサク伝説@storys.jp

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