歴史的な災害を引き起こした平成30年西日本豪雨、被害に遭われた方へ心よりお見舞い申し上げます。
モテサクは、いま、【西日本に梅雨前線が3日間ロックした原因は台風7号】という仮説を考えています。
「梅雨前線の正体」を6年前に著した時、これほどの広範囲でこれほどの雨量による豪雨災害が起こることは想像もしませんでした。
その最大の理由が、西日本に東西に横たわる梅雨前線が3日間もロックされ続ける、というパターンをそれまで様々な梅雨末期の事例で見たことがなかったからです。
平成24年や平成29年の九州北部豪雨などの場合は、梅雨前線が朝鮮半島付近まで北上した状態で、その南側でもたらされました。
つまり、今回の平成30年西日本豪雨とは、停滞し続けた梅雨前線本体による直接の雨か、梅雨前線の南側での雨か、という点で大きく違います。
既にいくつかの解説が各大学・研究機関・民間予報会社などから詳しく出ています。
歴史的豪雨のメカニズム梅雨前線がロックされ被害拡大か7/7 ウェザーニューズ
(太平洋高気圧と気圧の谷にサンドイッチされる形で、雨をもたらす梅雨前線が北上も南下もできない、謂わば”ロック”された状態となってしまったのです。)
緊急報告 西日本豪雨 ~被害はなぜ広範囲に及んだのか~7/9 NHK
(例えば、去年の6月、梅雨前線は1か所に長期間とどまることはありませんでした。ところが、今月(7月)5日以降、ロックされたように動かなくなりました。梅雨前線に向かって湿った空気が流れ込み、雨を降らせます。これが、西日本付近に3日間もとどまり続けたのです。)
いずれにしても、梅雨前線がロックされた事が豪雨の大きな要因であることは、明白です。
しかし、なぜロックされたのか?
ウェザーニューズでは、上空の気圧の谷と太平洋高気圧、というペアで解説していますが、モテサクは、少し違う見方をします。
太平洋高気圧は、地表で熱帯起源の湿った南風を日本に送り込む構造です。
なので、それとペアであるべき北側の北風を作る構造も地表の相手を考える方が自然だと思います。
地表で、南風と北風のぶつかり合い場所が、西日本でなければいけなかった理由が知りたい。
論文のように、前置きが長くなってしまったけど、モテサクは、7月2日から7月3日に東シナ海から日本海へ北上した台風7号が大きな役割を果たしたと見ています。
(クリックするとフルサイズ画像になります)
7月3日以降、温低化した台風の北側の巻き込む北東風によって、オホーツク海から日本海へ非常に冷たい寒気が流れ込んでいることがわかります。
日本海は7月2日以前は、すっかり温まってしまっており、太平洋高気圧の暖気を押し返す力はもはやなかったので、関東は梅雨明けを早々に宣言していました。
しかし、台風が温低化し日本海から津軽海峡を抜けていく際に、オホーツク海の寒気を日本海へ流し込む気流を作っていることがハッキリとわかります。
これにより、突然、太平洋高気圧の暖気と対峙する強い寒気が日本海に現れ、西日本は、南北の全く異なる気塊にガッチリ挟まれることになります。
これが、梅雨前線が突然、西日本に現れて3日間もロックされた理由だというのが、モテサクの見方です。
こんな形はハッキリいって初めて見ました。
そして数日間考えて思いついた仮説に過ぎず、十分な検証を経ているものでもありません。
それでも、モテサクの中では、少し確信に近い感触があり、現在、他の観点やデータをあわせて解析を進めています。
【西日本に梅雨前線が3日間ロックした原因は台風7号】
この仮説が本当なのか、過去にも同じパターンがあったのか、初めてなのか、近年注目され始めた海面水温上昇の影響があったのかどうかなど、継続的な研究が必要です。
また、みなさんのご意見もお待ちしております。
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またモテサクの著書の印税も全額寄付します。
「梅雨前線の正体」東京堂出版、2012年
天気と気象について わかっていること いないこと 〜ようこそ、空の研究室へ〜ベレ出版、2013年