科学とはこういう事だ、という迫力と凄みの詰まった渾身の一冊

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「雨はどうやってできるの?」という素朴な疑問を人は古代から繰り返し抱き、今なお検索フレーズで300件以上が完全一致でヒットしている。

 

この純粋な疑問のパワーが如何に強力であり続け、結果として、科学が古代からどのように論争を繰り返してより良い結論に近付こうとし続けてきたのか、その壮大なストーリーが綴られるこの本は、知識や見解や課題だけを解説するものとは完全に一線を画した傑作である。

 

 

科学が世界で最も信頼される理由は、単なる思い込みの科学信仰ではなく、「決して断絶せずに失敗も成功も含めて知恵を積み上げてきた歴史の長さと連続性」にこそ、信頼の根拠が置かれているとモテサクは思う。

 

多様な価値観の人々が共有できる事実から出発して、自由に失敗し、成功し、論争し、検証を重ねる事によって、1人の人間には、決してなし得ない全体としての謙虚さを維持しているのが、科学だ。

 

科学だから盲信すればいいのではなく、科学だからこそ謙虚さを要求され続けるが故に生まれる信頼感があるという事。

 

 

それが、「雨はどうやってできるのか?」というシンプルな疑問を300ページも要してひたすら古代からどのように挑まれてきたのかが描かれる、すごい本です。

 

三隅さんの人柄通り優しい筆致ながら、科学とはこういう事だ、という迫力と凄みの詰まった渾身の一冊。

 

motesaku
気象楽者 海洋研究開発機構 研究員 東京学芸大学教員養成課程 非常勤講師(地学実験・気象楽プログラム担当) 39歳 気象楽者。 2012年「梅雨前線の正体(東京堂出版,2015年現在3刷り)」を上梓し、気象学を童話的ストーリーで「文系だから・・・」と苦手意識を持つ人達にこそ伝え、楽しみ、共に考える取り組みを始める。 しかし、ただ親しみ、楽しむだけでは、天気・気象に「受け身」のまま、情報に振り回されてしまう人が多いことに気付き、「能動的」に天気と付き合い、向き合うための活動として、「サイエンスパフェ」を始める。 2013年「天気と気象についてわかっていることいないこと(ベレ出版)」を上梓し、気象学と日常生活を楽しみながら能動的に結びつけるための方法を提案する。 2014年4月「ニコニコ超会議・ニコニコ学会β」に登壇し、4万人の視聴者の前で「JAMSTEC・・・大丈夫か」と心配される。 NHK教育テレビ「学ぼうBOSAI」の出演・製作を経験し、災害情報発信の在り方を模索する中、講演依頼の増加に伴って、全ての人が災害を倒すためにできることに向き合う「災害バスターズプログラム」を立ち上げる。 生い立ちや赤裸々なプライベートはこちらを。 モテサク伝説@storys.jp

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