Facebookでの研究交流観察記

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Facebook上の交流を学会の懇親会と見立てて、「日常的ユル学会状態」にしよう、と思い立ってから、半年以上が過ぎました。
「日常的ユル学会状態」とは、通常年に1,2回だけ行われる数日間の学会で出会う普段は遠く離れている研究仲間との研究談義をFacebook上で肩肘はらずに日常的に交わしている状態、ということをイメージした僕の造語です。

ビジネス利用が話題になり日本でのユーザーが700万人近くになっているFacebookですが、僕は研究者の一人として、研究活動にも非常に親和性がある、と感じています。

僕の場合、僕の所属する気象学会、地球惑星科学連合、まだ所属してないけど関わりの多い海洋学会の面々を中心にフレンド数が300弱(うち高校時代の友人などは1割弱)。
ほとんどが日本人ですが、観測プロジェクトや国際会議で意気投合した人とは、国籍問わずフレンドリクエストを受け付けて今に至ります。

そうした研究仲間と学会中に行く飲み屋やレセプションでのくだけた話からムキになった議論まで、年に多くて数回じゃあ全然足りない!というのをFacebookで日常化しちゃおうというのが、僕のやりたかったことでした。

今までのところ、自分で当初期待していた以上にその「日常的ユル学会状態」が実現できていて、たった半年でこれだけのことをこれだけの人と本当に深く共有できるものなのか、と正直驚いています。

何か研究に関わるおっ!と思ったこと(面白そうな会議、面白そうなデータ、使いやすそうなツールなど)をお互いウォールに情報提供すれば、負担を増やさずに研究交流の密度を上げることができます。

公式・非公式のプレゼンや授業など、録画してYoutubeにアップしてリンクを知っている人だけ見られるステータスにしておいて、Facebookの限定された範囲で公開する、ということもできます。自分では気付かないことをコメント貰える価値は学会発表に匹敵するほど大きなものですし、また、単純に「いいね!」と複数の人からポチって貰えるだけで次へのモチベーションが倍増するという手軽で非常に大きな棚ぼた効果もあります。さらにそうしたことを積み重ねておくと、学会などで生身で会って話すときの内容もより一層濃くなります。「実際に会うこと」自体の価値もWeb上での下地を醸成しておくことによって上がる、というのが理想だとずっと思っていたのですが、Facebookは、かなりその実現に適している気がします。

チャット機能も何気に便利です。チャットだけなら、Gmailなど他にいくらでもありますが、Facebookのウォール上でさっきまで話題にあがっていたことをネタにして、特定の人とちょっと込み入った話、なんならちゃちゃっと済ませて実現しちゃえそうな話をする、ということがしばしばありました。これでコミュニケーションがとれるようになると、劇的に早く用事が済んでしまう場合があり、これをメールでやろうとしてたら一週間以上かかっていそうだな、と思うような事が何度もありました。

実名であること、信頼した人だけに記事を公開していること、そして写真とはいえ相手の顔がしっかり見えていること、このあたりが他のメディアでは起こらない交流の深まりと迅速さを生み出している気がします。

研究者同士の交流だけでなく、研究者がこれまで苦手にしていた、アウトリーチという側面でも公開できる情報をかいつまんでFacebookページなどに出していけば、かなり手軽にできますし、一般の方からのフィードバックも安心して受け付けられるかもしれません。

まだ所詮半年でしかないので利用できていない機能もたくさんありますが、少なくともメールでやりとりするよりは圧倒的に楽で速くて深い、という部分はかなり見えてきました。

そんな今後の「日常的ユル学会状態」に我ながら期待しています。

motesaku
気象楽者 海洋研究開発機構 研究員 東京学芸大学教員養成課程 非常勤講師(地学実験・気象楽プログラム担当) 39歳 気象楽者。 2012年「梅雨前線の正体(東京堂出版,2015年現在3刷り)」を上梓し、気象学を童話的ストーリーで「文系だから・・・」と苦手意識を持つ人達にこそ伝え、楽しみ、共に考える取り組みを始める。 しかし、ただ親しみ、楽しむだけでは、天気・気象に「受け身」のまま、情報に振り回されてしまう人が多いことに気付き、「能動的」に天気と付き合い、向き合うための活動として、「サイエンスパフェ」を始める。 2013年「天気と気象についてわかっていることいないこと(ベレ出版)」を上梓し、気象学と日常生活を楽しみながら能動的に結びつけるための方法を提案する。 2014年4月「ニコニコ超会議・ニコニコ学会β」に登壇し、4万人の視聴者の前で「JAMSTEC・・・大丈夫か」と心配される。 NHK教育テレビ「学ぼうBOSAI」の出演・製作を経験し、災害情報発信の在り方を模索する中、講演依頼の増加に伴って、全ての人が災害を倒すためにできることに向き合う「災害バスターズプログラム」を立ち上げる。 生い立ちや赤裸々なプライベートはこちらを。 モテサク伝説@storys.jp

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