地球の声に耳をすませて ?地震の正体を知り、命を守る? (くもんジュニアサイエンス)
- 作者: 大木聖子
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 2011/12/22
- メディア: 単行本
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5つの星では表現できないほど,私はこの本に感動しました.
とはいえ,読み手によって得るものや印象が様々だろうと思います.
しかし,どんな読み手にも有意義な「何か」を持っている本だと思います.
以下に,読み手の立場ごとにそれぞれにとっての
この本の素晴らしさを想像してみようと思います.
小中高生のみなさん:
読書感想文の課題図書としてこの本に出会えるみなさんが
とても羨ましいなと思います.
この本の読書感想文集みたいなのが出るなら,
僕は値段に関わらずすぐ買うと思います.
これだけの優しさと易しさを兼ね備えた科学の言葉に何を感じるのか,
心から惹かれます.
著者はある本をきっかけとしたのと同じように,
将来,何人かのみなさんが地球科学の入り口をくぐるのだろうな
とはっきり想像できます.
大人の文系のみなさん:
勝手なカテゴリは相応しくないかな,とは思いましたが,
「勿論興味はあるけど自分は文系だから
こういう科学的説明って理解できるのか不安」
っていう感覚を抱きがちな方を想像しています.
この本は安心して「理解できる」言葉で綴られていることは
間違いありません.
でも,この本のもっと魅力だと思えるところは,
「とても感情的に生きている科学者と
対等な目線で話しているような感覚」
かもしれません.
大人の理系のみなさん:
乱暴なカテゴリは相応しくないかな,とは思いますが,
「何かの仕組みを理解し,
何かにつけてそこに根付く論理をとても大事にする」
っていう感覚が当てはまる方を想像しています.
この本は表面的なことを「易しく」説明しているのではありません.
改めて考えてみると「知ってはいた」けど,
「理解できていなかった」たくさんのことを
真摯に伝えてくれる本です.
何かの分野の科学者のみなさん:
私自身は実はここに当てはまります(気象学).
私はこの本の「易しく優しい言葉」に,
最初の数ページから「著者の迫力」を感じました.
一体どれだけの場面をくぐり抜けて
鍛えられたらここまで簡潔で平易で
優しさを持った言葉を作り出せるのだろう,と.
「今伝えるべき内容がしかるべき相手に伝わるような言葉を
作るにはどうしたらいいのか?」
同業の専門家相手にすら私はそれにとても苦労していますし,
多くの科学者がそうだと思えます.
そうした視点からこの本の「易しく優しい言葉」を観ると
「著者の迫力」を誰もが感じとれると思います.
思慮のきっかけ,知的興奮,感動,将来すべきことへの前向きな精神,
様々なものが脳内を駆け巡る感覚で一気に読んだ後,
自分より年が下の著者に対して素直に深い敬意を覚えました.