視たものしか信じないなら研究者の生き様も可視化しよう

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よく言われると思うんですけども,
人って視たものしか信じない,って確かに自分にもそういうところあります.

震災以後,モテサクが一番気にしてきたのが,
「科学」に携わる人の発言が少なからず信頼を損ねてしまった,
ということです.

だいぶ科学に対する信頼も復興してきてるとは思うんですが,
それでもまだ口に出さなくても心の底ではなんとなく不信感を抱いてる,
という人は,やっぱり話していると感じてしまうものです.

なので,「信頼の復興」をテーマにちょっとした論文形式で文章を書いてみました.

7月22日に可視化情報シンポジウム2015っていうちゃんとした学会で
招待講演にお誘い頂いたので,こんな文章を書いてみました.

モテサクなりのもがき続けた現在地,というところでこのメルマガでも共有します.

(PDFはコチラ)
http://bit.ly/1cBtz4R

スクリーンショット 2015-06-05 18.25.29

講演する研究者自身の可視化による防災啓蒙
─災害の知識の前に研究者の姿を届ける─

茂木 耕作
海洋研究開発機構

1.研究者じゃない人が最初に視るもの
防災や地球環境の様々な問題を考える際に可視化されるべき情報は、
シミュレーション結果や観測値以外に何があるでしょうか?

それをどのように可視化したら防災啓蒙において価値を持ちうるでしょうか?

茂木は、2012年の6月に一般向けの書籍(図1)を執筆して以来、
上記2つの問いに向き合いながら、
マスメディア、パーソナルメディア、講演会、シンポジウム、
書籍執筆などを通じて発信を続けてきました。

その中で今の世の中にあまりなくて、これからの世の中あって欲しいと思うもの、
それが、
「講演する研究者自身の可視化による防災啓蒙」
です。

その理由は、防災啓蒙を届けるべき研究者じゃない人達が最初に視るものが、
実は、防災の知識ではなく、それをこれから語る研究者のキャラクターだからです。

「研究者のキャラクター」は、研究者自身はあまり意識していなくても、
思った以上に受け取る側にとっては重要な要素です。

受け取る側は、まず知識をどういうキャラクターの研究者から受け取りたいか、
という選別を無意識にしています。

また、同じ知識でもどういうキャラクターの研究者から受け取るかで、
印象が大きく変わり、知識に基づいた行動も変わり得ます。

研究者自身の活動状況やキャラクターを可視化して届けられれば、
防災啓蒙の入り口が大きく広がります。

スクリーンショット 2015-05-29 19.53.04
2.研究者の姿を届ける意味

防災啓蒙の諸活動を行っていく際に、茂木が実感してきたことは、
「分かり易くする」ことよりも「知識がキャラクターより出しゃばらない」
ことが重要だという事実です。

多くの防災啓蒙では、知識から入り、知識を知識で説明して、
その知識を思い出して下さいというメッセージの講演になりがちで、
茂木自身もそういった講演をずっとしていました。

しかし、それだと入り口から出口まで全て知識で埋め尽くされるため、
どうしても受け取れる人がごくごく少なくなってしまいます。

そこで、あるときから茂木耕作という一研究者に、
「気象を楽しむ者、気象“楽”者モテサク」
というできるだけダサくて尚且つ出しゃばったキャラクターで打ち出してみることにしました。

こうするとキャラクターが出しゃばりまくっているために、
知識がそれ以上に出しゃばってるようには感じにくくなります。

こうしたキャラクターは、講演を含めた様々な研究活動を動画に撮影して、
Youtubeで公開した結果を解析するところから生まれました。

自分が映っているYoutube動画は、一つの可視化だとも言えますが、
もう一つ大事な可視化は、動画の再生回数です。

動画の再生回数と動画そのものを視ることができると、
それぞれに適した自然でかつ受け取られやすいキャラクターが、
発信側と受信側の両方に同時に伝わっていきます。

そして大事なことは、キャラクターが伝わると同時に、
防災啓蒙上で伝えたかったメッセージやデータなども適宜伝わっていくということです。

研究者の姿は、決して表面的なキャラクターだけで伝わるものではありませんが、
入り口としてキャラクターがあり、それを可視化して自分も相手もそれを視て、
その上でドアの中でゆっくりと知識を視てもらうという手順が必要です。

その手順において、地球環境データそのものの可視化と受け取り側の反応や
感想自体の可視化と研究者のキャラクターをリンクさせるための可視化が、
それぞれ効果的になされていけば、防災啓蒙の在り方も良い方に変わっていくはずです。

今の世の中にあまりなくて、これからの世の中あって欲しいと思う可視化について、
あなたにとっては、どんなアイデアが思い浮ぶでしょうか?

アイデアの広がりを会場で可視化してみませんか?

—–
可視化情報シンポジウム2015
ワークショップセッション講演
http://www.visualization.jp/event/detail/symp2015.html
日 時 平成27年7月22日(水)
会 場 工学院大学新宿キャンパス
〒163-8677 東京都新宿区西新宿1-24-2
都営大江戸線都庁前駅直結,各社線新宿駅下車歩8分
—–

Enlightenment for Disaster Prevention by
the Visualization of Talking-Researchers themselves
─Deliver Researchers’ living prior to deliver knowledge of disaster─
MOTEKI Qoosaku (Japan Agency Marine-Earth Science and Technology)
ABSTRACT
This talk demonstrates activities regarding to enlightenment

for disaster prevention and proposes

to archive and distribute visualized talking-researchers themselves.

Keywords:

Visualization of Researchers’ living,
Enlightenment for Disaster Prevention

◎クリエティブ・エンタメ・気象”楽”
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motesaku
気象楽者 海洋研究開発機構 研究員 東京学芸大学教員養成課程 非常勤講師(地学実験・気象楽プログラム担当) 39歳 気象楽者。 2012年「梅雨前線の正体(東京堂出版,2015年現在3刷り)」を上梓し、気象学を童話的ストーリーで「文系だから・・・」と苦手意識を持つ人達にこそ伝え、楽しみ、共に考える取り組みを始める。 しかし、ただ親しみ、楽しむだけでは、天気・気象に「受け身」のまま、情報に振り回されてしまう人が多いことに気付き、「能動的」に天気と付き合い、向き合うための活動として、「サイエンスパフェ」を始める。 2013年「天気と気象についてわかっていることいないこと(ベレ出版)」を上梓し、気象学と日常生活を楽しみながら能動的に結びつけるための方法を提案する。 2014年4月「ニコニコ超会議・ニコニコ学会β」に登壇し、4万人の視聴者の前で「JAMSTEC・・・大丈夫か」と心配される。 NHK教育テレビ「学ぼうBOSAI」の出演・製作を経験し、災害情報発信の在り方を模索する中、講演依頼の増加に伴って、全ての人が災害を倒すためにできることに向き合う「災害バスターズプログラム」を立ち上げる。 生い立ちや赤裸々なプライベートはこちらを。 モテサク伝説@storys.jp

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