クリスマス・イブの過ごし方

メリークリスマス!皆様、イブの夜をいかがお過ごしですか?きっと日本中楽しそうに嬉しそうにキラキラ光ってるんだろうなと思いを馳せながら、僕らは淡々と、世界の中心で空と海を測り続けています。 船内の食堂ではささやかな一口サイズのロールケーキを戴いて、セミナー室でデータ解析の結果を議論して、小さな無数のトラブルに一つ一つ対処して、データの品質を高く保つために、各人が毎日同じ事を同じ精度でただただ黙々と繰り返していきます。 僕らにとっての本当のクリスマスプレゼントは、誰かから貰うものではなく、誰かの為になる様に積み重ねたその先に出来上がるものなのです。 写真のお二人は、バケツ採水をしているマリンワークジャパンの武田さんと福田さん。10リットルの表層海水を採取するためにロープを引き上げて、分析の種類数に応じてたくさん用意されたサンプリングボトルに海水を小分けにして保管していきます。 写真奥に見えているのは、CTDのウィンチ。CTDが深度200mを過ぎて300mまで下がっていく間の時間を利用して、バケツ採水の作業を素早く行います。バケツ採水が終わったら、上がってきたCTDの採水器からまた分析用のサンプリングボトルに小分けする作業があります。 他にも諸々並行して作業しながら一回分のプロファイルのデータが出来上がるまでに300mで約1時間(1日一回行われる500mまでだと1時間半)かかり、それを3時間おきに途切れることなく実施しているのです。 モテサクは、そのプロファイルデータが仕上がったらできるだけ早く深度時間変化の図を更新して、「おおおっっっ、スゴイしょっぱくなってる!おおおおお、水温が0.1℃上がってるし!!な、な、流れが、、、向き変わってますよ!!!」と興奮しまくっているのです。 どうですか?僕らのクリスマス・イブの過ごし方も一回は試してみたくなったでしょ?

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ゆうひとゆうひ

今日の中村雄飛(東大・M2)と夕日は、昨日までと少し違いがあります。 今日の夕日は、昨日までと違い、今朝まで90mm近い降水をもたらした大きな雨雲軍団の背中をいつもより色濃く照らしていました。 今日の雄飛は、1時間毎の高頻度ゾンデ観測が今日だけ一旦小休止で、通常の3時間毎になり、余裕を持ってゾンデ後の全天観察を堪能していました。 いつも以上になんのひねりもオチもないモテサクがお伝えしました。

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オレの名は。

どーも、もてきこうさくです。 略してモテサクです。 41歳です。 人には、ちょっと変わった気象学者だと言われます。 主に、熱帯の積乱雲が専門でした。 でもひょんなことから2年前、海洋の乱流を測る担当になりました。 それ以来、あっさりと海洋学会に入ってすっかり海洋学者気取りです。 そう、お気づきの通り、モテサクは性格が軽いです。 研究テーマでも観測機器でも出かける場所でも、「誘われたら断らない」タイプです。 もっと言えば、「置かれた場所で咲く」タイプです。 世の中には色々な性格の研究者がいるのです。 一つのテーマについて長年深く深く追求する研究者。 複数のテーマを幅広く並行して実行できる研究者。 みんなのテーマをとりまとめて大きなビジョンを掲げる研究者。 研究者にも多様性が必要なのです。 そんな研究界の片隅で、モテサクは今、海洋表層の変動に興味を持っています。 2年前のPre-YMC2015では、MJOの西風が吹く前から観測が始まりました。 今回のYMC2017では、最初のMJOによる西風が吹いた後から観測が始まりました。 だから、海の中もまるっきり様子が違っています。 その比較をしてみると、たくさんの研究テーマが見つかりました。 そんな話しを先日、船長を始めとする船員のみなさんと観測作業の目的を共有するための「みらいセミナー」で紹介しました。 3時間おきに船員さんが作業して取得してくれたデータをモテサクは毎回めちゃくちゃ楽しみにしています。 そんなメッセージを暑苦しくお伝えしました。 そして、このブログを読んでいるアナタにも伝わったら嬉しいです。 オレの名は、もてきこうさく。 41歳。 人には、ちょっと変わった気象学者だと言われます。 主に、熱帯の積乱雲が専門でした。 今は、海の観測データの中で泳ぎ回っています。

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君の名は。

彼女は、いつも笑ってみんなに話しかけて夜勤のみんなを明るくしてくれます。 「見て見て!カワイイでしょー?機関室の機関士さん達が作ってくださったんです(⌒▽⌒)とにかく船内のみんなにコレが言いたいの!」 観測船みらいは、真っ暗な夜の洋上でも常に明るく照らされています。 きょーこちゃん、ありがとう! モテサク

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#雲を愛する技術 を持つ人々

#雲を愛する技術 を持つ人々の人生は美しい。 言語や文化や価値観を飛び越えてその一瞬に心から共感しあえるから自ずとそうなるのです。 『雲を愛する技術』(光文社新書) 荒木 健太郎著 ¥1296 https://www.amazon.co.jp/dp/4334043291/ 12/25までに本書購入の方には、彼が厳選した著作権フリーの雲写真50枚の画像データがクリスマスプレゼントとして送られてきます。 https://twitter.com/arakencloud/status/941074665484591104 https://www.facebook.com/kentaro.araki.meteor/posts/1122965107838300 以上、6000km離れたインド洋の彼方より本日のブログは、全面的にステマ致しました。 みんな買ってね。

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海に響くお天道様とお月様の歌声

定点における3時間毎のCTD観測は、海の中の様々な声を聞き取るためのものです。 水深0-30mの表層海水は、お天道様と斉唱、80mより深くなるとお月様も加わります。 多分、もうちょっと低い声でその後ろにコーラス隊もいるはずです。 高頻度の作業は、そうした様々な旋律を聞き漏らさず記録するために、どうしても必要なのです。 モテサク

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海の中の騒がしさは吹き抜ける風次第っす

12月5日から3時間毎のTurboMAP観測が始まりました。 水深300mまでの海洋表層は先週ずっと吹いていた強い西風によって随分と賑やかになっているようです。 海面を吹き抜ける風は、海の中に乱流運動をもたらし、海面は熱や水蒸気を大気に返します。 そんな吹き抜ける風と海の楽しげな会話は劇的な物語を構成しているので、それらは僕らにとっても傾聴に値することなのです。 作業はしばしばトラブルシューティングを要したりもしますが、観測自体は極めていーー感じです(・∀・)

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ADCP流速計の回収・設置

11月25日早朝、赤道上の東経90度に到着。 午前中は、二年間海の流速を測り続けたADCP(Acoustic Doppler Current Profiler)係留系を回収。 午後は、これから二年間の流速を測り続けるADCP係留系を設置。 波高が2〜2.5メートルでかなり揺れがあり、ちょっとした物の移動にも慎重を要する。 天候は、幸い雨もなく暑すぎない曇天で、淡々と確実に作業が進められていく。 ADCP係留系は、水深4085メートルに重りをつけて沈め、ADCP本体は浮きによって水深400メートル付近に係留される。 水深400メートルから上向きに音波を発してドップラー速度の計測によって0-400メートルの水平流速の分布を継続して測り続ける。 赤道上、東経90度の観測点は、2000年から開始され、観測途絶期間が少ない非常に貴重な測点として維持されている。 2年分の観測データは、全て係留系内部のロガーに収められており、今回の作業で過去二年分のデータをようやく解析することができる。 本日設置した新しい係留系もこれから二年間、流れに耐え、水圧に耐え、腐蝕に耐え続けなければ、データとして2年後に報われることができない。 こうした測器には様々な時間的あるいは物理的な特徴があり、それが測る対象物の性質に沿って発展してきた。 その発展の中で、研究者自身の考え方や価値観も同時に相互作用しながら形作られていく。 粛々と進む現場には、船員と技術者と研究者が長年形作ってきた価値観が凝縮された空気に満ちている。

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