スライドデザインの理論

ブログを始めてから、そろそろプレゼン以外の話題もまとめたいんだけど、とりあえずここまで言わせて。 筋書き作りと同じくらい凝っているのがスライドデザイン。 これが美しく理論に基づいた形にキマると本当に嬉しくなる。 単純に「カッコイイ」のではなく、本当に美しいデザインは主張と一体化する。 ・・・というほどの域に僕自身は全く達していないのですが、例によってそこまで感化させたのは下記の本。 プレゼンテーションZenデザイン(\2520) めちゃくちゃオススメです。 オススメ過ぎて、自分が持っているのを人にあげてしまい、そのたびにAmazonで買う、というのを3回くらいやってます。 いくら感化されやすいからって、我ながら異常。

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プレゼンの筋書きを作るための覚え書き

1年前まで、何かしら発表する、ということが決まったら、ひとまずPowerPointのファイルを新規作成、既に手持ちである図を適当に貼っておく、ということをしていました。 それが2010年の7月で変わりました。 スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン〜人々を惹きつけるための18の法則〜 リンク先のレビューのようにリーダーシップのあり方や啓発書としての示唆にも富んだ一冊ですが、僕に大きく影響を与えたのは次の部分。 1.「スライドのファイルを開く前に、手書きメモで筋書きを作るべきである。」 2.「相手が、何故あなたの話をわざわざ聞かなくてはならないのか、の理由を最初に話す。」 かの本はこの一年でプレゼンの回数以上に読みましたが、気象研究者は、「夢のある商品を売る」のとはまた少し違ったプレゼンの作り方をしなくてはいけません。従って、一回読んですぐ上手くなる、というようなハウツーものではないので、哲学をくみとりながら自分用のプレゼン作成法にアレンジしていくことが必要です。 まず、1は、それまでの自分のやり方を180度変えた根本的な部分です。 以前は、大まかに手持ちである図やグラフをスライドに貼って、それに発表者ノートをつけながら、なんとなく筋書きを書いていました。しかし、そうすると筋書きの全体像が見えにくいし、最初にあまり意図もなく並べた図の順番に無意識のうちに縛られて筋書きを書いてしまいます。 これを白地のメモ帳や裏紙でもなんでもいいので、紙と鉛筆でやると、全体像の見通し、一回書いたあらすじを何回でも壊してより良いつながりで組み直し、ということが、とても自由にできます。 次に2。自分が素敵だと思う成果でも、出だしでつまづくのはもったいない、ということは前から意識していたつもりでした。しかし、「相手が、何故あなたの話をわざわざ聞かなくてはならないのか。」という文章を見たときの「ドキリ!!」としたショックは忘れられません。そこまで厳しく自分に問いかけていたかと言われれば、全くといっていいほどしていなかった。相手の興味関心のツボがどこにあるかを想像する、その想像した興味関心と自分の話したい話題のどこにつながりがあるかをまず考える。それは、聴衆というお客様に対する最低限の「おもてなし」の気持ちです。それがなければ、相手は自分が招かれざる客だ、と思ってしまい心と耳を閉じてしまうかもしれません。 手書きメモの筋書き(ストーリー)に含まれるべき必須の要素は次の4つ。 大見出し(ヘッドライン) 研究発表の場合、タイトルが堅くなりがちなので、分かりやすく書き下すとつまりこういうこと、という内容をできるだけ覚えやすいシンプルな言葉でまとめます。それが、結局、結論でもそのまま使えるような内容。 発表中に数回は繰り返して、自分はつまりこういうことをやった、という概要を相手の頭に叩き込めるようなインパクトを作れると最高だと思う(挑戦しているがまだ達成したことはない)。 あなたの話を聞くべき理由 聴衆は、他の発表が目当てでたまたまそこにいるだけかもしれない。 他に特に目当てもなく、なんとなくそこにいるだけかもしれない。 目当てはあなただが、何故あなたに興味を抱いているのかあまりはっきりしていないかもしれない。 あなたの話が自分にとって面白いかどうか判断するためにきているかもしれない。 そんな聴衆が「おお!これはちゃんと聞かなくてはっ!!」と身を乗り出すようなセリフを冒頭の相手がまだ集中力を維持しているうちに投げかける。 情熱の根源(パッションステートメント) 私はこのプロダクトが素晴らしいと思う、なぜなら・・・ 私はこの現象が本当に興味深いと思う、なぜなら・・・ 私はこの手法に大きな将来性を強く感じている、なぜなら・・・ 自分がそのテーマに何故それほどにまでのめり込んでいるのか、をはっきりと述べる。 発表者がのめり込んでもいないのなら、他人である聴衆は、それ以下の興味しかもたないことの方が普通だ(僕は人の発表を聞いていて、自分の方がのめり込んでしまうこともあるけれど、それも希にしかない)。 主張すべき3項目(3つのキーメッセージ) 「3」という数字は、魔法の数字なのだそうである。 人の記憶において、3つまでの項目は、非常に頭に残りやすいのだそうだ。 「3匹のクマ」「三銃士」「だんご三兄弟」 世の中、長らく人の頭に残るのは、「3」なのだといわれるとそういう気もする。 実際、一つだと思っていた成果から3つの重要な要素を探すと必ず出てきて、筋書きも俄然練りやすくなる。3つ以上言いたいことがあるときは、最重要の3項目のサブ項目に割り振っていく。 必須じゃないけど、うまく使えると筋書きが盛り上がる3つの要素。 主役と悪役の設定(ヒーローの使命とヒールのもたらす実害を明示) 隠喩・暗喩:例え表現だが、『…のようなもの』といった例えであることを明示しない文(メタファー) 例「人生はドラマだ」 類比・直喩:『…のようなもの』といった例え表現であることを明示する例え(アナロジー) 例「マイクロプロセッサーはコンピューターにとって頭脳のようなもの」

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ここ一年のプレゼンの反省

今日は、昨日のエントリーで公開したプレゼンの中から、発表当日の音声録音を聞き返して話し方の反省。 内容はとても愛しているので公開しましたが、音声に関しては、下手くそなカラオケの録音を人様に公開しているようなものなので、実にかっこわるいのは自分でも分かっています。 しかし、ここまできたら開き直って如何にダメかの反省も公開してしまうことにします。 とても比較にならないのですが、100点満点の理想を「スティーブ・ジョブズによるiPhone発表のキーノート」において、現時点での到達点の客観視を試みます。 -口グセ 一番多いのが、 「で!、、、えー、、、」 これがメチャクチャ多いのは非常に気になるので、やめたいのだが、どうしても出てしまう。 練習量が多いときには若干減っているが、本当になんとかならんものか。 次に止めたいのが、いらない接続詞?の 「まあ、」 これは練習が多いときにはだいぶ減るが、サボるとすぐでる。 キリがないほどあるなあ。あとは、 「・・・をぉ↑、・・・はぁ↑(語尾が無駄に上がる)」 「あー、・・・・、おーーー、・・・・(説明の間に入る無駄な間延び声)」 など。 -冗長なセリフ それ、さっき言ったよね、同じ文章じゃん、というのが練習が足りないときは相当ある。 強調するため、分かりやすくするために敢えて繰り返す、という意図ではなく、無意識に繰り返しているのは問題。 -セリフの一文が長い 文を区切らず、全部くっつけていってしまう箇所が多い。 間の取り方ができてないということか。 言葉のキレが余計悪くなってしまう。 -声の大きさ 冒頭の声の張りがない。 中盤に乗ってくると今度は一本調子になって、強弱・抑揚が使えていない。 今までラジオやテレビを何気なく見てても気付かなかったけど、改めて反省した上で周りを見渡すとこれほど酷い人は出演してませんね。当たり前か。しかし、「喋りのプロじゃないから仕方ない」の言い訳を使うとしてしても、もうちょいなんとかしたいものです。 それでも、一年前よりはだいぶマシになった気がします。 数年以上前なんて、思い出したくもないほどですが、当時は「結構練習してるし、上手い方だ」などと思っていました。 客観的に観測する、というのは、つくづく難しいことです。

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2010年度のプレゼンを公開

自分が何故ここまでプレゼンに興味を持つのか? このテーマの研究は長くなりそうです。 まずは、状況証拠としてここ1年のプレゼンを下記に列挙してみます。 基本元ネタは1つなのに、時と相手と場所によって、何度も作り替えています。 我ながら不思議なくらいです。 周りからも「よーやるね・・・」と半ば呆れ気味な顔をされることもありますが、自分でもそう思う。ムービーまで作っちゃってるし。 「そんな時間あったら新ネタの解析を進めればいいのに」は、極めて全うな考えだとも思う。 しかし、このネタを偉く愛してるんだろうな、というのは自分の中であって、そうじゃなければさすがに毎回ここまでしません。 というわけで。 内容・デザインその他、専門外・専門問わず、ご意見もこのブログ上で公開する限りにおいてお受けいたします。 プレゼンの元ネタの原著論文: The Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society 2010年12月受理 「The influence of the observations propagated by convective coupled equatorial waves」 PDF 3.6MB データ同化専門の方向け: 第一回データ同化ワークショップ  2011年4月22日 気象研究所 「熱帯気象研究におけるアンサンブルカルマンフィルター同化の効能」 スライド Keynote, PDF, PPT形式 スライド+当日ライブ音源 WMV形式 34分 80MB 熱帯気象専門の方向け: DYNAMOワークショップ 2011年3月2日 マイアミ大学 「The objective evaluation of the value of CINDY/DYNAMO」 スライド Keynote, PDF, PPT形式 スライド+読み上げ収録音源 WMV形式 4分 14MB CINDYワークショップ 2010年11月9日 海洋研究開発機構 「The objective evaluation of the value of CINDY/DYNAMO」 スライド Keynote, PDF, PPT形式 メソ気象・熱帯気象専門の方向け: メソ気象に関する国際会議ICMCS8 2011年3月8日 「Characteristics of the vortical disturbances during PALAU2010」 スライド Keynote, PDF, PPT形式 スライド+読み上げ収録音源 WMV形式 6分 30MB 気象学専門外の方向けのプレゼン: 2011年1月17日 海洋研究開発機構 「熱帯波動が運ぶ気象観測情報〜1万km先まで広がる特別観測の貢献〜」 スライド Keynote, PDF, PPT形式 スライド+当日ライブ音源 WMV形式 20分 24MB 気象予報士会神奈川支部主催地球シミュレーター見学会 2010年12月9日 海洋研究開発機構 「気象予報システムを応用した熱帯観測」 スライド Keynote, PDF, PPT形式 スティーブ・ジョブズの本に感化される1年前 (論文執筆の前でもあるのでそこは割り引きつつ、デザインが全く違う): 大気科学に関する国際会議IAMAS 2009年7月27日 モントリオール 「Propagation of the Impact Signal…

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研究そのものよりプレゼンに興味を持ってしまう背景

プレゼンは、研究者になってから最も興味のある技術として、僕の中のトップをずっと維持しています。 気象研究者の癖に、最も興味あるものが気象現象やその解析技術などではなく、プレゼン、というのはあまりに不自然で我ながら不可解です。プレゼンなんて、研究成果がまずしっかりした上で、それを伝える一手段でしかないので、研究そのものより興味持つなんておかしいのは自分でも分かってるんだが。 そこで、今日から「何故研究者としての自分がこれほどプレゼンに興味を持ち続けているのか?」についての研究を始めます。 プレゼン、というものをやり出したのは10年以上前。学部4年生で気象学研究室に入り、卒論などに関わるプレゼンが最初。当時から何か、課題としてただ嫌々やる、というよりかなり前向きな興味を持って取り組んでいました。 僕の場合、当時から今に至るまで、プレゼンの内容は、スライドごとに全てセリフを書いて、それを覚えるやり方をしてきていて、「脚本を書いて、それを演じる」という感覚。かなり長い間、セリフなしでアドリブで軽く喋れたらいいのに、という憧れのようなものもあったけど、結局それをせずに今に至ります。 今では、とある本に感化されているため、「アドリブで軽く喋れたら」とは全く思っていないので、今後もその辺の捉え方は変わらない予定です。 仲間内の予行練習に向けてさえ、まず、一人でセリフ練習をしてしまう。 話すことを決めていないとまるで口が動かず、グダグダを通り越してとても惨めな気持ちにさえなってしまうことが、ハッキリしているからです。スライドだけ作り込んでいても、セリフを固めていないとまるで喋ることができなくなってしまう、従って、惨めな気持ちは嫌なのでセリフを固めて練習して、それを本番で軽くほぐしながら喋る、というのが今のスタイル。 なるほど。 まず、思い出してみて分かったこと。 アドリブで喋るのが人一倍苦手過ぎたことが、かえって、「脚本をきちんと書いて演じる」ことの楽しさを自分の中でより際立たせてきたのだな。 そうこうしているうちに、「脚本を仕上げるために足りてないパーツ」が見つかる瞬間こそが、研究のアイデアに直結していたり、研究を進めることそのものにも非常に良い影響を与えることがはっきりと体感できるようになってきた。もはや、解析が先か、プレゼンの脚本を書き進めることが先かは、ほとんどよく分からない形で僕の中では混ざり合っちゃってる状態です。 そして、そういう「演劇」を繰り返すうち、日常会話のようなアドリブ以外ではやりようのないやりとりも、よりスムーズになってきたように思います。学会では、プレゼンのときの一瞬だけでなく、数日間通して色んな研究者と有意義な日常会話をきちんとできることが、将来の成果の下地になるので、これもとても意味のあること。もちろん、私生活でも会話をよりスムーズになって悪いことは何もない。 研究を始める前の茂木耕作と、始めた後の茂木耕作は、プレゼンという行動の積み重ねを通じて、全く違う人間になっていることは確かです。 そして、全く違う人間になって一番大きな変化は、「仲間が増えたこと」。 僕にとってプレゼンは、仲間を増やすために不可欠な行為。という仮説はどうだろうか。 今後その辺も検証していこう。

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感化されている人リスト

Apple CEO スティーブ・ジョブズ氏 伝説のプログラマー 中島聡氏 シリコンバレー精神の伝道師 梅田望夫氏 このお三方は、最近興味を抱く多くのモノに深く関わっていることは間違いない。従って、研究対象とすべきでもあるので、ひとまず、ここに明示しておきます。まあ、項目三つじゃ、リストと言うほどのものじゃないんだけれども。 それぞれ、 ぐうの音も出ない最高のプレゼンテーション 創造的な活動とその過程で垣間見せる反骨精神と豪速球正論 前向きな明るい未来志向の行動の起こし方 を自分に提供する存在。

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メールからの投稿に挑戦

「ユーザー設定」の「メール投稿」タブにある投稿用メールアドレスに文章を送るとブログを更新できるかテストします。 「題名が見出しになり、本文が内容として登録されます。画像ファイルを添付して送信すると、送った日の日記に画像が掲載されます。」 とありますが、例えばこの画像はどうなるのでしょうか。 職場で関わっている国際大気海洋観測プロジェクトCINDYのロゴです。 素案は上司でデザインは僕です。 iPadのneu.Drawというアプリで作成しました。

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ブログ再挑戦の背景を探る

はじめまして。モテサクこと、茂木耕作です。 中島聡さんのブログ(Life is beautiful)と本(エンジニアとしての生き方)とUSTREAM(同書出版記念講演会)にあった「実名ブログのススメ」的内容に感化されて、自分のブログを立ち上げてみることにしました。 ブログには、これまでも何度かトライして挫折してきたものの、今回の感化のされ方には少し期待しています。 僕は、気象観測研究を職業としていますが、気象だけでなく、興味のわくもの全てを観測して、ブログにまとめていこうと思います。 できれば、それらの興味の対象を少しでも「研究」して、「自分にとって何故そんなに興味深いのか」を明らかにすることに挑戦していきます。 というわけで、今、興味あるものの1つ目。 散々挫折してきたのに再びトライしようとしている「ブログ」に興味があるのは間違いないですね。 (もっと根本的には「ブログに興味を持っている自分」に興味がある。) ブログに興味を再び抱いた理由は、冒頭にも書いた中島聡さんの著書の影響が一つ。 もう一つは、中島聡さんを知るきっかけとなった梅田望夫さんの著書。 梅田望夫さんの著書は数冊ほど読みましたが、おおもとは、iPhoneアプリ書籍「iPadがやってきたからもう一度ウェブの話をしよう」が始まりでした。 中島聡さんは、そのiPhoneアプリの開発者ということと対談者ということで初めて知りました。 梅田望夫さんは、産経新聞の一面にやたらと共感させられてしまうコラムを書いておられたことで知りました(「最近の若い者は・・・、素晴らしい!」という主張は、珍しく且つ衝撃でした。「最近の若い者はケシカラン」というありきたりな主張は全く納得できない割に永遠のモノだろうと諦めていましたが、氏はそれらを様々な側面から綺麗に覆しておられます)。 なるほど。 何故、ブログに対する漠然とした興味が育ってきたのかが、書いている途中で思い出せるのは面白い。 (梅田望夫氏の文章からの勝手なまとめ) 「ブログとは、知的生産のための道具としての意義が大きい」 (中島聡氏の文章からの勝手なまとめ) 「ブログの最大のメリットは、自分の頭の中で混沌としている漠とした考えを整理できること」 「実名」で書こう、というのは、冒頭の中島さんの著書にそうあったから。 結局、僕は、ネット上だけでの発信、交流になってしまう匿名ならば、あまり興味を持てないようです。 可能性として、実世界における発信、交流の下地として面白い、と思ったから実名を選びます。 中島さんは、「採用面接などの際にはブログの内容の方が履歴書よりよっぽど役立つ」と書いておられました。 別に就職に限らず、新しく出会った方やちょっと知っているけど普段会う機会の少ない方に対して、いつかは「こんなことをブログに書いているような人間です」と一言で自己紹介できるとすると、今までの付き合いではなかった何かが生まれそうな期待もあります。 そんなわけで、ブログに対するうっすらとした興味が徐々に育って、重い腰を上げるのに半年以上かかっているけど、ルーツは、梅田望夫さんの文章にあるということ自体、今日書いてみて初めて気付きました。これは今日の研究成果だな。 お二人の言葉はきっと正しい。 今書きながらそれを実感しています。

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