11月25日早朝、赤道上の東経90度に到着。
午前中は、二年間海の流速を測り続けたADCP(Acoustic Doppler Current Profiler)係留系を回収。
午後は、これから二年間の流速を測り続けるADCP係留系を設置。
波高が2〜2.5メートルでかなり揺れがあり、ちょっとした物の移動にも慎重を要する。
天候は、幸い雨もなく暑すぎない曇天で、淡々と確実に作業が進められていく。
ADCP係留系は、水深4085メートルに重りをつけて沈め、ADCP本体は浮きによって水深400メートル付近に係留される。
水深400メートルから上向きに音波を発してドップラー速度の計測によって0-400メートルの水平流速の分布を継続して測り続ける。
赤道上、東経90度の観測点は、2000年から開始され、観測途絶期間が少ない非常に貴重な測点として維持されている。
2年分の観測データは、全て係留系内部のロガーに収められており、今回の作業で過去二年分のデータをようやく解析することができる。
本日設置した新しい係留系もこれから二年間、流れに耐え、水圧に耐え、腐蝕に耐え続けなければ、データとして2年後に報われることができない。
こうした測器には様々な時間的あるいは物理的な特徴があり、それが測る対象物の性質に沿って発展してきた。
その発展の中で、研究者自身の考え方や価値観も同時に相互作用しながら形作られていく。
粛々と進む現場には、船員と技術者と研究者が長年形作ってきた価値観が凝縮された空気に満ちている。