サイエンス・ライターさんは、現代の歌人なのだ。


Facebookメッセージでポンと依頼の入った

とってもフシギな取材を受けました。

 

滝澤美奈子さんというサイエンス・ライターさんで、

昨年の12月にJAMSTECの一般公開講演会

司会をしてくださった方です。

 

 

時事通信社のこども向け科学コラム

「想像から切り開く科学技術の世界」

を連載されていて、

光栄にもモテサクに声をかけてきてくださいました。

 

こどもたちに向けて、10年後、20年後を想像しながら、

今のモテサクの研究がどこへ向かっているかを考えて、

テキトーに色々しゃべってください、という2時間。
ある意味、普段の研究所内では、

しょっちゅうやっていることでもあるんだけども、

お相手が、気象学の専門的な知識を持っていない、

でも科学の基本はおさえている、

というサイエンス・ライターさんだと、

自分の口から出てくる言葉が全くいつもと違っていて、

今まで思いつかなかったことを次々にしゃべってしまう。

 

取材を受けながら思うこと。

 

人間の思考は、

出会った人との相互作用でみるみる変化する、

という自然の摂理を、

いつもよりもロコツな感じで体験した取材でした。


熱帯の気象、

MJOの話からジャカルタの交通渋滞の話へ

つながっちゃった瞬間が自分でも大きな発見だった。

 

あの混沌としているように見える、

でも全く規則がないわけではなく、

あくまで中緯度の僕らから見れば、

という相対的により雑然とした感じ。

 

そしてより強く溢れだすエネルギー。

 

単一の強いリーダーが全体を統率する、

のではなくて、

むしろ大量の個がそれぞれ抑えきれない

エネルギーを抱えて、

危なっかしく見えるほどスレスレに

ひしめきながら全体をなす感じ。

 


あまり絞り込んだ問いかけは、

あえてしない滝澤さんに

モテサクも内側にもってる言葉を

おもむろにテーブルにのせていって、

二人で眺めるような会話。

 

スクリーンショット 2015-09-03 17.38.39

 

最初は、今年の3月9日に

バヌアツ共和国を襲ったサイクロン・パム

話題から。

 

サイクロンPAM、津波のような被害

(ハフィントンポスト

バイツプ環礁に押し寄せた高潮による高波

 

南太平洋の小さな島国のバヌアツで

島をほとんどまるごと高潮が襲い、

首都の9割が被災してしまいました。

 

そんな凶悪なサイクロン・パムを

産み落とした実の親が、

マッデン・ジュリアン・振動(MJO)。

バヌアツを襲ったサイクロン・パムについて
-巨大な雲群MJOとの関係-

fig02 6

 

気象学としては当然、

サイクロンなり、

ハリケーンなり、

台風なり、

その予報がどこまで正確にできるのか?

っていうことを学問全体の

大目標として据えてるので、

こういう大きな被害が

起こるたびに改めて、

自分たちの現在地と向き合わさせられます。

 

MJOの予報がなかなかできない

という現状は、

中緯度の人達が直接は意識しなくても、

僕らからすると、

結局この課題を乗り越えないと

未来は変えられないよね、

っていう隠れた最大のテーマです。

 

10年先、20年先に、

モテサクがやってる仮説提案とか、

インド洋まで観測にでかけていくこととか、

一体どれほどの貢献になっているのか、

正直言ってクッキリハッキリした

ビジョンは描けていません。

 

でもオレたちはイケる。

MJO研究によって

MJOの何か一つでも分かると、

その未来に繋がるんだと信じる根拠があるから、

直近の日本の実生活向上に

直接貢献が分かりにくい研究であっても、

僕らはやり通したいんだと。

 

それはカッコつけでもあり、

本心でもあり、

迷いもあれば、

やっぱり確信なんだと

気を取り直したりもする。

 

今の週間予報を扱う感覚で、

1ヶ月予報を人々が

当たり前に利用する近未来。

それにきっとつながってるんだと。

 

2時間以上かけてそんな話を

右往左往しながらも

引き出していただきました。

 

終わってみると想像以上に

混沌としたまとまらない話をしちゃったなあ、

と思った所へ、

 

 

「ああ、これなら書けます」


の一言が・・・


「これで書けるんですか?!!!」

 

ライターさんってスゴイと思うわ。

 

ほんとに。


2時間の混沌から

300文字に絞り込んで伝わるストーリーを創る、

っていうのは、なんか、

複雑な心情や激動の世の中や人間関係の真理を

和歌に詠みこむ、

みたいな技術と似てるなー、

と思ったら、

さらに尊敬が深まっちゃったのでした。


サイエンス・ライターさんは、

現代の歌人なのだ。

 

でも一つ大失敗したことが。

この本のサインもらうの忘れた!!!!

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