モテサク、1年半ぶりにオフライン研究発表は震災対策技術展@横浜

久しぶりに人前で研究発表しました❗ こちら、震災対策技術展という会議にご招待頂き、45分枠でお話しました。 全然知らない人だらけでしたけど、割と好評でたくさんお友達できました 「令和2年7月豪雨をもたらした梅雨前線の異常な長期停滞の原因」 https://youtu.be/Mk2m2apyi_E スライドはコチラ Googleスライドにコメント頂けます。 お気軽にどうぞ このお話のもとになったのは、このブログで昨年の豪雨発生直後に書いた内容。 コチラと 【7/4熊本南部での豪雨】〜線状降水帯の停滞が豪雨災害を引き起こす〜 投稿日 2020年7月5日 コチラ 梅雨前線停滞1週間超えは黄海高気圧のせい 投稿日 2020年7月11日 です。

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モテサク、初のオンライン気象学会発表の資料公開

スマトラ西岸沖における直接観測を用いた海面水温格子点プロダクトの検証 https://docs.google.com/presentation/d/1po7YaDYcnsJmy-vfz8rM9GPR1m8VqaXVg2Meu9zPk5k/edit?usp=sharing 資料は、Google スライドで現在作成中です。下記の日時までに完成版となります。完成版前も適宜、閲覧し、コメント追加も可能です。お名前、所属を明らかにして頂ける方であれば、Google Meetでのディスカッションを適宜お受けします。 [10月29日(木)] 15:00~17:00 オンデマンド(ポスター・スライド)セッション B2P大会第4日 [10月28日(水)] 13:00~16:00 オンライン・口頭・セッション

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梅雨前線停滞1週間超えは黄海高気圧のせい

気象庁も梅雨前線の停滞期間が異常に長いことを指摘している。 モテサクも同じ見解だけど、言い換えると、黄海高気圧の定在が異常に長い、といえる。 「黄海高気圧」と固有の名前を付けて呼び、存在を認識したのは、モテサク書いた2012年の論文によるものだけど、まだ一部の予報士さんが使ってくれてるだけで、あまり広まっていない。 でも、普通に天気図眺めてるだけで見えるものなので、専門知識がなくても簡単に見つけられて、梅雨前線の停滞に関する判断指標として使うことができるので、やってみてください。 今後も前線停滞、線状降水帯発生が続く見込みですが、個別の細かい積乱雲を位置まで正確に予報するのは、通常よりも難しい反面、黄海高気圧の有無は確実に予報に出てくるはずです。 “気象庁の中本能久・予報課長は「今年は同じ場所に停滞する時間が長い。ここまで長く続くのはあまり経験がない」” 梅雨前線停滞「経験ないほど長い」 7日も広範囲に大雨:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASN766T61N76UTIL02V.html 黄海高気圧のインデックスを定義して、時間と緯度の断面を作るとこうなります。

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【7/4熊本南部での豪雨】〜線状降水帯の停滞が豪雨災害を引き起こす〜

2020年7月4日未明から朝にかけて熊本県や鹿児島県では、数十年に一度のこれまで経験したことのないような大雨となり、気象庁は大雨特別警報を発表しました。今も被害は進行中ですが、雨量は24時間で400mm以上となる地点が複数あり、球磨川の氾濫によって熊本県の人吉市や球磨村などで広く浸水したり、土砂崩れが起こるなど7月5日の時点で既に大きな被害が生じています。 梅雨前線に伴う大雨特別警報が出た近年の豪雨としては、平成29年7月の「九州北部豪雨」、平成30年7月の「西日本豪雨」があり、いずれも「線状降水帯の停滞」が大きな原因となっています。 ここでは、線状降水帯がなぜ「数十年に一度」クラスの大雨にをもたらすのか、改めて順を追って整理します。 線状降水帯とは何か? 線状降水帯とは、積乱雲が数十km以内の幅で長く連なりおよそ100km以上の長さに伸びた結果、降雨域が線状に細長く伸びて見えるものを指します。降雨強度や幅、長さについて厳密な数値的定義があるわけではありませんが、たとえば時間雨量30mm以上の降雨強度(バケツを引っくり返したようだと感じ、寝ている人の大半が気づき、道路が川のようになる激しい雨)が、「線状に100km以上伸びている降水帯」として見ると、誰でも降水分布データから見つけることができるはずです。 なぜ線状に降水帯が連なるのか? 強い雨をもたらす積乱雲は、実は一つ一つは、寿命が1時間程度で大きさも10㎞四方がせいぜいです。従って、たった一つだけ、非常に発達した積乱雲がたまたまできただけでは、豪雨になることはありません。次々にたくさんの積乱雲が同じ場所ででき続け、それが同じ経路で移動しながら発達した結果として、「線状降水帯」になります。 では、なぜ、積乱雲が同じ線に沿って綺麗に列をなし、降水域が線状になるのでしょうか? 図1に示すように、「線状降水帯」の中で積乱雲の列が維持される仕組みは、「バックビルディング(後方形成)」とよばれます。列をなした積乱雲を横から見た場合に「積乱雲が発生した地点を後ろ(図の左側)」とし、「移動して発達した先の地点を前(図の右側)」とすると、新しい積乱雲が後方で発生し続ければ、前方の積乱雲が衰弱して雨が弱まりかけても、常に後方から次の積乱雲がまた強い雨を降らせる、という積乱雲の世代交代が維持されます。このような積乱雲の「バックビルディング(後方形成)」が起こる条件が整うと、線状降水帯が長時間維持されることになります。 図1 バックビルディング(後方形成)の模式図。 図2で、具体的に熊本南部で7月4日未明に大雨がもたらされた際の気象庁レーダーによる降水分布を見てみましょう。梅雨前線は、おおよそ北緯32度の緯線に沿って停滞しており、太平洋高気圧からの湿った西南西風と黄海高気圧(黄海の冷たい海面水温で冷やされて形成される高気圧)からの冷たい西北西風の地表収束線が継続的に上昇流を生み出します。 その上昇流によって積乱雲はどこでも発生できる状況ではありますが、より水蒸気が多く供給される東シナ海上で発生し始めるので、熊本県の200〜300km西の海上で強い降水域がポツポツと散在して現れているのが分かります。それらがほぼ東に進みながらより強い降水域へとまとまっていき、線状降水帯となります。このような西側(後方)で次々に新しい積乱雲が生じ、発達しながら東へ進むというサイクルが10時間前後維持されていました。 単純に見積もれば、時間雨量50mmが10時間積み上がっていくと、すなわち総降水量500mmとなり、各地点で24時間雨量400mm超という値がおおよそこの線状降水帯の停滞で説明されます。 図2 気象庁レーダーによって観測された熊本県南部で豪雨が発生していた際の降水分布(令和2年7月4日・日本時間午前2時15分)。気象庁のホームページよりダウンロードしたレーダー解析雨量分布に一部加筆。 なぜ線状降水帯が南北移動しなかったのか? 図3 気象庁による熊本県南部で豪雨が発生していた際の地上天気図(令和2年7月4日・日本時間午前9時)。気象庁のホームページよりダウンロードした天気図に一部加筆。 線状降水帯が、同じ緯度で停滞し続ければその停滞時間の長さだけ降水量が積み上がり、豪雨となる、ということがお分かりいただけたでしょうか?しかし、どんなに強い線状降水帯が形成されたとしても、短時間で異なる場所へ移動している場合は、総降水量は大きくなりません。従って総降水量がなぜ増えたのかを考える上では、「同じ緯度で停滞し続けてしまうのはなぜなのか?」ということが重要な問題になります。 図3は、熊本県南部で豪雨が発生していた際の地上天気図です。黄海からの冷たい空気の流れと太平洋南方から暖かく湿った空気の流れが、梅雨前線を南北方向に挟んで2つの高気圧によってもたらされています。九州付近の1004hPaの等圧線に注目すると、ほとんど緯線に沿うような東西方向に伸びていて、太平洋高気圧は多少東に移動しても南側の気圧配置がほとんど変わらない状況だと言えます。 一方で、梅雨前線の北側の黄海高気圧は、黄海の冷たい海面水温によって冷やされて形成されているので、もともと位置が固定されて動きにくい性質を持ちます。このように、梅雨前線を挟んだ2つの高気圧による気圧配置を広い視野で見てみると、東西方向へ多少のずれがあっても、梅雨前線の南北方向の位置がほとんど変わらない状況であることが分かります。 したがって、東シナ海から九州、西日本にかけての広い範囲で見たときに、南北の高気圧の位置関係は7月3日から4日にかけてほとんど変化せず、梅雨前線の位置は固定されてしまいました。このような広範囲で見渡した際の条件が変わらない中で、線状降水帯がバックビルディングによって維持されると、強雨域の南北方向の位置が固定されてしまいます。 なぜ九州なのか? 7月5日現在までで梅雨前線は、西日本の太平洋側にかけて東西に伸びている状況が続いています。それによって九州以外の地域でも雨量は多くなっていますが、やはり九州での雨量は他地域に比べて抜きん出ています。 図3の天気図でもう一つ注目すべき特徴は、九州北東部に解析されている小さな低気圧(メソ低気圧)です。東西に伸びる梅雨前線は、西でも東でも同じ条件が整っているわけではありません。東西に伸びる前線上をひっそりと東へ進んでいるこのメソ低気圧は、大雨を発生において非常に重要な特徴の一つです。 太平洋高気圧から流れ込む暖かく湿った空気は、メソ低気圧の西側でより強く加速されるため、九州付近における時間あたりの水蒸気の供給量が著しく増大していると考えられます。これに加えて、東シナ海南部は、黒潮の流路上で25度以上の高い海面水温により、地表の水蒸気の絶対量が非常に多くなります。 「地表風速がメソ低気圧の西側で著しく増大する」ということが、もともと水蒸気の絶対量が多い九州西方の海上に対して作用すると、積乱雲の発生数が多くなっても長時間の水蒸気供給が可能となり、線状降水帯が持続しやすくなります。 こうした条件は、他の地域でも揃うことが有りえますが、九州西部において豪雨の頻度が高いのは、やはり条件が揃いやすいということによります。 まとめ 線状降水帯とは? ・積乱雲が数十km以内の幅で長く連なりおよそ100km以上の長さに伸びた結果、降雨域が線状に細長く伸びて見えるもの。 なぜ線状に降水域が連なるのか? ・次々にたくさんの積乱雲が同じ場所ででき続ける「バックビルディング(後方形成)」が起こる条件が整うと、同じ経路で積乱雲が移動しながら発達した結果として、線状に降水帯が連なる。 なぜ線状降水帯が南北移動しなかったのか? ・梅雨前線を挟んだ南北の2つの高気圧がほぼ固定されており、7月4日の九州南部における気流の条件がほとんど変化せず、線状降水帯の位置を動かす要因がなかった。 なぜ九州なのか? ・九州北東部のメソ低気圧の西側で風が加速される効果が、もともと水蒸気の絶対量が多い九州西方の海上に対して作用すると、線状降水帯への水蒸気供給量が著しく大きくなる。

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各都道府県で新型コロナ対策パーソナルサポートのLINEアカウントが開設されています

現在、陽性患者の感染集団が把握されていますが、「無症状で健康な人」の分布を対策班に教えてあげる事で、感染経路対策がより効果的に行われるようになり、我々への感染拡大が防がれる可能性が高まります。 その目的で下記にリストする各都道府県ごとに公式の「新型コロナ対策パーソナルサポート」がLINEアカウントが開設されています。 特に、基礎疾患をお持ちの方は登録しておくと、いざという時により早い適切な対応が取りやすくなります。 落合陽一【緊急検証】東京封鎖“ロックダウン“は起こるか? https://youtu.be/qHaLhNvyA2M慶應義塾大学医学部の宮田裕章教授が枠組みを組んで、神奈川県が全国に先駆けて取り組んでいる仕組みで、他県も順次導入されるとのこと。ご家族、ご親族にもお知らせ頂くと役立つと思います。 公式LINEアカウントに登録し、トークメニューから質問を選択すると、マスクとかトレペの在庫・生産状況などを自動チャットで答えてくれます。 神奈川県 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/bukanshi/line/index.html 東京都 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/coronasodan.html 埼玉県 http://www.pref.saitama.lg.jp/a0701/covid19/line_saitama-official-account.html 福島県 https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045c/covid19-line.html 秋田県 https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/48438 鳥取県 https://www.pref.tottori.lg.jp/289689.htm 愛知県 https://www.pref.aichi.jp/site/covid19-aichi/line-1.html 京都府 https://www.pref.kyoto.jp/gyomusuishin/novelcoronavirus-line.html 兵庫県 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk26/covid19_line.html 滋賀県 https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kurashi/ict/310749.html 福井県 https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenkou/corona/coronaline.html 三重県 https://www.pref.mie.lg.jp/YAKUMUS/HP/m0068000078.htm 香川県 https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir1/dir1_6/dir1_6_1/covid19_lineaccount.shtml 愛媛県 https://www.pref.nagano.lg.jp/hoken-shippei/kenko/kenko/kansensho/joho/corona-line.html 島根県 https://www.pref.shimane.lg.jp/bousai_info/bousai/kikikanri/shingata_taisaku/new_coronavirus_portal.html 福岡県 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/covid19-linepersonalsupport.html 長崎県 https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/hukushi-hoken/kansensho/corona_nagasaki/corona_nagasaki_tool/ 長野県 https://www.pref.nagano.lg.jp/hoken-shippei/kenko/kenko/kansensho/joho/corona-line.html 岐阜県 https://www.pref.gifu.lg.jp/kinkyu-juyo-joho/shingata_corona_line.html 宮城県 https://www.pref.miyagi.jp/site/covid-19/line.html

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クラウドファンディングについてパフェトークしよう

こんにちは、金欲は正直殆どないのにお金を集める話やビジネスの成功にはいつも興味津々になってしまうモテサクです。 クラウドファンディングって聞いたことありますか? 辞書的な意味を一応書いとくと、クラウドファンディング(crowdfunding)とは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募るしくみです。 モテサクは最初、「雲基金」だと勘違いしてたことはナイショなので、外には絶対にもらさないでください(トップシークレットを外に漏らしたらいつかイジワルします、絶対ゆーなよ!)。 たとえばこのグループには今ざっくり250人のメンバーがいて、このグループで何かしら一つの「これやったらいいんじゃない?」という計画に対して、「じゃあ、一人100円ずつ出して25000円で実現しよう」というような話が、一番カンタンなクラウドファンディングですね。 実際には、250人いてもそれぞれ一つの計画に対する想いの強さや経済的余裕は様々なので、10人が1万円、40人が1000円、200人が100円で16万円集めて、、、という感じのプロジェクトが多いです。 実際にモテサクが昨年にやったクラウドファンディングの例としては、 https://academist-cf.com/projects/67 こんなのがあります。 「研究船の上で、海洋学の魅力を若者に届けたい!」https://www.youtube.com/watch?v=8x4EtWmpGbY というタイトルの呼びかけで、238人の方から148万円の資金を出して頂きました。 その資金で何をしたかというと 2018年9月15日から17日の3日間、函館で北海道大学水産学部付属練習船「おしょろ丸」の船の上での海洋実習を、全国各地の高校生・大学生に参加費無料・旅費一部支給で実施しました。 こんな感じです。 おしょろ丸で海を学ぼう2018 ハイライトムービー(旅の始まり編) おしょろ丸で海を学ぼう2018 ハイライトムービー(友情編) この海洋実習の目的は、3日間の実習を通じて「海洋学の入り口に入ってもらうこと」です。座学で学ぶことも大事ですが、自然科学はフィールドに出て精密に測定する、という体感と経験が何よりもパワフルな知恵を与えてくれるのです。 という経験をたまたま海洋学会でさせて頂きましたが、モテサクは本来、気象学会がホームです。 気象学会でもいつかクラウドファンディングできたらなー、と思っていたんです。 そしたらふと、思ったんですね。 よく考えたら、気象学会、ずーーーーーーーっと昔からクラウドファンディングやってるじゃないの。めっちゃ時代を先取りしてたじゃないの。 というわけで気象学会のクラウドファンディング、御覧ください、こちらです。 https://www.metsoc.jp/meetings/2020s#sponsoring 。。。。 意味、わかりましたか?わかりませんね?わかりにくいですね。すいません。 モテサクは、来年5月に川崎で実施される気象学会の春大会の実行委員なのですが、担当が「広告・企業賛助・リクルートブース」の係なのです。 毎回、大会参加者に配られるハンドブックに広告を1ページ10万円、半ページ5万円、会場の一角での企業紹介ブース出展を8万円、採用関係の相談ブース出展に3万円、そして寄付一口1万円、というのを募集して、大会運営資金の援助をお願いしているのです。 集まる金額は、大会ごとに当然ばらつきますが、ざっとこれで100万円ちょっと集める、という前提で、大会運営がなされています。 これって、名前は、漢字になってるだけで、「気象学会を盛り上げて参加者の有意義な議論を促進したい!」というプロジェクトに対するクラウドファンディングなんですね。 毎年2回ある大会に数万円以上の出資をして下さる学会と関係の深い企業さんも一定数いらっしゃいますが、もちろんそれだけではなくて、開催地の地元の関連が深かったりとか、学会の推進している旬な研究テーマによって、応援してくださる場合もあるようです。 必ずしも必要以上に多額の資金を集めなくてもいいのですが、正直言って、もうちょい参加しやすく、出資の敷居を下げたり、お金は出さなくても応援コメントを集めたりとかしてもいいのに、と、去年の海洋学会のクラウドファンディングを経験したあとで見ると、そう思っちゃうわけです。 そのとき、大事なのが、出資金額のバリエーションと、リターンの設定です。 たとえば、1000円でオリジナルステッカー、3000円で実施報告ハイライトムービー、5000円で学会ページにお名前記載とムービーとステッカー、10000円で気象研究ノートのPDFなどと出資金額を選べるようにして、単なる応援の寄付だけではなくて記念品などをリターンとしてお返しする内容を考えれば、広がりも出てきそうですよね。 そしてクラウドファンディングでとても大事なのは、ある程度の出資にご協力頂くこともですが、必ずしもお金を払っていただかなくても、「応援してます!」「学会でこういう研究を推し進めて下さい!」「こんな予報があったらいいのに!」といったパブリックコメントを頂くだけでも、学会としてはものすごく有り難いものなのです。 率直なご意見は、ある意味、金額以上に学会組織の未来にとっては価値を持つかもしれません。 学者、専門家、予報士、そういう知識のある人達の意見や主張は勿論、学会の主要な財産です。 その財産は本来、専門ではない人たちのために蓄え、積み立てて、それを社会の投資するためにこその財産なのです。 ですが、140年も続く3000人以上も所属する組織ともなると、内側だけでも十分に広いわけで、その中をマネージすることにものすごいエネルギーがかかり、なかなか頻繁に外へ向けてコミュニケーションとることに手が回らないのです。 でも人数がいるので、個別にコンタクトすれば結構気軽にコミュニケーションを深められることも多いのですが、学会とのつがなりを外側から得る、という感覚にはなかなかなりにくいだろうと思います。 んで。外とつながるのに、学者は本を書いて買ってもらう、とか、予報士は防災講座を開く、とか、色々やってはきたわけですが、前回、「カフェとパフェの違い」でも書いたように、「上から知識を下へ流す感」がどうしてもでてしまい勝ちです。 でも、クラウドファンディングは、その立場がいい感じに逆転して、出資があれば勿論超感謝ですし、単にパブリックコメントや応援コメントだけでも、「学会側が外から授かってめちゃくちゃ嬉しい」というものになるので、これはとってもパフェ的な対等関係です。 というわけで、今日は、クラウドファンディングをテーマにトップシークレット(コードネーム・雲基金)も交えて書かせて頂きました。 気象学会のクラウドファンディング、 https://www.metsoc.jp/meetings/2020s#sponsoring 気持ちだけなら応援してやっても良いよ、という方は、是非、「頑張れモテサク!」の一言とともにRT・シェアをどうぞ。お礼にもれなくなつきます。

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気象サイエンスパフェFacebookグループ再開

【パフェとカフェの違いは?】 こんにちは、6年前に僅か数人だけの内輪ネタで盛り上がって立ち上げたこのグループが、気付いたら250人以上になってて、最近は全く何の投稿もしてないのにも関わらず、何故か毎日のように参加依頼が来ることに不思議を感じつつも、「やっぱりネーミング良かったのかな」と自画自賛の結論に行き着いたモテサクです。 茂木耕作ことモテサクは、6年前に二冊ほど梅雨前線の研究について一般向けの本を出したのですが、そのうちの一冊天気と気象について わかっていること いないこと 〜ようこそ、空の研究室へ〜のコラムで提案したイベントのコンセプトが「サイエンス・パフェ」です。 「サイエンス・カフェ」は、学者が一般の方に分かりやすく最新の科学を噛み砕いて伝えるイベントですが、モテサクは、なんとなくそのスタイルに違和感を覚えたんです。 一応、紳士的な言い方とポップな案内にしてはいるけど要するに「玄人が素人に丁寧に教えてやる」という上から目線感がどうしたって根っこに見えちゃう気がして、僕は少なくともあまり人様のサイエンス・カフェに出向こうと思えませんでした。 ちゃんと色々な方のサイエンス・カフェ出て見て話聞いて皆んな素晴らしい方達ばかりではあったんですが、なんか本人も意図しない上下関係が場に出来上がってしまうんですね。 んで、人が集まるお題は誰かが出した一つか2つで良いけど、集まった人達は、お互いに対等に、知ってること、気付いた疑問、関連しそうな他のアイデア、話してみて湧いてきた新しいテーマを上下関係なく話せる感じがいいなぁと僕は思ったんですね。 ただ、側から見れば唯の雑談だろうけど、本人達はある程度本気で関心を抱いていることをあーだこーだと話すので、結構、脳みそに栄養も必要で、脳みそは糖分しかエネルギー源に出来ないから、甘いものは必須だろうと言うことで「よっしゃ、パフェ食べながらやろう」とかなりマジメに考えたわけです。 サイエンス・カフェ主役はあくまでもテーマの決定権がある学者になる。噛み砕いてるとはいえ、参加者は教えを請う建て付けなので、上下関係ができてしまう。飲み物だけでは脳みその栄養が不足する。学者は話すことが苦手な場合が多いので、場が盛り上がらないし、盛り上げるスキルを誰か1人に求めてる時点でどうしたってかなり厳しい。 サイエンス・パフェ主役はあるお題に関心のある集まってきた人全員。お題についてそれぞれ想いを語ったり、それを聞いて新たに湧いてくるアイデアの応酬がイベントのメインコンテンツなので、予定調和にならず、無理して盛り上げなくても毎回勝手に盛り上がる。知識が多い少ないは単なる個性の一部であって上下関係にはならず、知識が少ない人は、むしろ「私が1分で分かる様にアナタはできるのかしら?」というお題を与えて場の主役になることも可能。脳みそをしっかり働かせるために多めの糖分を補給しながら行うので、知的活動としてとても理に叶っている。 ということを6年前に数人で考えて始め、Facebookメッセージだけでやるのももったいないから、参加自由にしてグループを立ち上げよう、というグループなのです。 2013-2014までの投稿を遡れる人は是非見てみて欲しいのですが、コメント欄の応酬がとても活発でした。 その後、オンラインのグループ内でやりとりがあまり要らなくなるほど頻繁にオフ会が行われ、いくつかの大舞台への挑戦や何冊かの新しい本の出版などへと繋がっていきました。 そうした表舞台で当初のコアメンバーが数々の企画に挑戦する際に悩みや問題解決のアイデアを出し合う場としても機能していたのです。 2015年あたりからは、当初のコアメンバーがそれぞれ独自のベクトルで新しいフィールドを開拓していくにつれ、このグループでの「サイエンス・パフェ的ディスカッション」は減っていきました。 それでも1人また1人と参加希望のリクエストが継続的にあり、基本的には全て承認しているうちに、気付いてみたら250人を超えていました。 よく考えてみると、やっぱり250人って数は、決して少なくないし、それぞれの得意なことを集めたり、それぞれの率直な疑問を集めたりできれば、誰も思いもよらないような楽しくて素敵な何かが生まれるかもしれません。 そんな事をとあるキッカケでふと思って、これからまた度々投稿してみようと思い立ちました。 なので、この記事のコメント欄には、どんなことを書いて下さっても結構です。長くてもいいし、簡単な自己紹介でもいいし、誰か情報くださいでもオッケーです。こんなイベントあるよの宣伝なんかも歓迎です。 あ、あと最後に、よろしかったらモテサクに友達申請くださると嬉しいです。飲みにいきましょう、のお誘いなんかも歓迎です。横浜市内だったら平日で当日でも割と行けます。都内ぐらいまでは前日でも結構行きます。

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2018年 #西日本豪雨から1年 、最新の研究成果でわかったこと

歴史的な災害を引き起こした平成30年西日本豪雨、被害に遭われた方へ心よりお見舞い申し上げます。 また、今なお復興の途上において尽力なさっている全ての方に心から敬意を表します。 さらに、今年もすでに激しい豪雨が各地でもたらされていますが、今後の対策やその前提となる理解において、少しでも貢献できれば、という祈りのもとでこの記事をしたためます。 モテサクは、一年前の豪雨発生直後、【西日本に梅雨前線が3日間ロックした原因は台風7号】という仮説を提示しました。 その仮説に従って、様々な検証を重ね、下記の論文が専門家の審査を経てまもなく出版されることになりました(7月中旬ごろの予定)。 「Scientific Online Letter on the Atmosphere誌」に掲載されたもので、該当する原著論文は下記のものです。 タイトル:Role of Typhoon Prapiroon (Typhoon No. 7) on the formation process of the Baiu front inducing heavy rain in July 2018 in western Japan 著者:MOTEKI Qoosaku 校正・レイアウト前の原稿はすでにここから読めます。 2019年7月10日、ここで正式に出版となりました。 それに先立ち、このブログでも論文内容の大まかな解説を紹介します。 論文のポイントは次の3点から構成しています。 ◆西日本豪雨(7/5-7)をもたらした梅雨前線は、2日前まで北海道に停滞していた ◆台風の日本海通過によりオホーツク海の寒気が西日本まで引き込まれた結果、梅雨前線が北海道から西日本へ一気にジャンプした ◆日本海まで張り出したオホーツク海高気圧の厚い寒気により西日本で梅雨前線が3日間ロックされ、豪雨につながった この3つのポイントについては、日本語・英語の動画解説ですでに公開しています。 論文は英語で記述されていますが、補足資料として、全文和訳された原稿、英語・日本語による3分動画解説、学会発表資料のスライドなどが原稿内に埋め込まれたURLからダウンロード可能ですので、興味のある方はそちらも御覧ください。 図1 2018年西日本豪雨に伴う3日間降水量分布(7月5日から7日)と梅雨前線および台風の動き。青矢印は7月3日から5日にかけての台風7号の動きを表す。紫および黒・灰色の太線は、それぞれ7月3日、5日、6日、7日の梅雨前線の位置を表す。水色の矢印は、7月3日から5日にかけての梅雨前線の移動を表す。 2018年西日本豪雨では、7月5日から7日まで梅雨前線が3日間にわたり西日本で完全にロックされてしまいました(図1)。2018年8月10日付け気象庁による報道発表では、7月5日にオホーツク海高気圧の寒気が日本海へ突然流入し始め、梅雨前線が形成されたことが示されていますが、その突然の寒気流入の原因は不明でした。豪雨直前の7月3日まで、梅雨前線は、北海道のおよそ北緯45度付近に一週間ほど停滞し続けていましたが、7月5日に突如として1000kmも南の西日本へ一気にジャンプしていました。今回明らかにされたのは、その1000kmの大ジャンプの原因が、7月4日の台風7号(プラピルーン)・日本海通過であったということです。 台風は、その中心に向かって周囲の風を引き込む力(気圧傾度力)が非常に強いため、日本海通過の際に、7月3日まで北海道で停滞していた梅雨前線の収束線を破壊していたことがわかりました。その結果、7月4日から5日にかけて、北緯45度より北に留まっていたオホーツク海高気圧の寒気を日本海へ流入させ、西日本の北岸まで一気に梅雨前線が南下しました。この寒気は、高さ方向にも非常に厚い構造を持ち、西日本の南側で発達していた太平洋高気圧が北向きに押し込む力(気圧傾度力)とほぼ釣り合った状態になり、梅雨前線が西日本で完全にロックされてしまいました。 こうした一連の流れは、従来の梅雨期の豪雨と比較して、2018年西日本豪雨が極めて特殊な発生過程であったことを示したものです。今後は、過去の類似例の検討や台風以外の低気圧でも劇的な南下を引き起こしうるのか、などの疑問を検証し、予測に資する研究を進めていく予定です。 【あの豪雨はどれほど特殊であったのか?そのメカニズムも特殊なのか?】 豪雨直後の気象庁報道発表で報告されている通り、2018年西日本豪雨は、死者数、全壊家屋数、災害範囲の広さなどあらゆる側面から見て過去30年間における最悪の豪雨災害でした。各マスメディアにおいても「なぜ梅雨前線が3日間も同じ場所でロックされてしまったのか?」という疑問に対する様々な検証・説明が連日試みられ、豪雨が継続した原因については多様な側面から報じられてきました。しかしながら、「梅雨前線が3日間も同じ場所でロックされてしまった」原因の鍵となる台風7号については、その時系列的な通過のタイミング以外にはほとんど論じられてきませんでした。その結果、梅雨前線の北側にあたる日本海にオホーツク海高気圧の寒気が流れ込んだ原因が不明なままとなり、「西日本豪雨をもたらした梅雨前線の停滞がなぜ始まったのか?」という重大な疑問が残されたままとなっていました。 また、そもそもの科学的な命題として、台風と梅雨前線の両者の動きについては、力学的に踏み込んで論じられてきませんでした。したがって、本研究で答えようとした「梅雨前線が南下する動きに対して、台風がどのような力学的メカニズムで影響を与えうるのか?」という科学的論点自体が、今回初めて提起されたものです。 2018年西日本豪雨は、7月5日から7日までの3日間総降水量において、その観測史上最大となった地点が広域にわたっていました。その点は、通常の梅雨期における豪雨が狭い地域に集中することで災害につながる通常の事例と明らかに異なり、特殊だと言えます。また、梅雨前線の南側に台風が位置している際に発生する豪雨の研究は多くありますが、台風によって梅雨前線の位置自体が大幅に変化して豪雨をもたらした、という研究報告は今までなく、その発生メカニズムも特殊だと言えます。 【梅雨前線はなぜ西日本に現れ、そしてロックされたのか?】 西日本およそ北緯35度に梅雨前線が現れたのは7月5日でした。しかし実は、6月30日から7月3日までの梅雨前線は、北緯40度より北、つまり北海道に停滞し続けていました。その状況から関東地方では6月29日に梅雨明けが早々に発表されており、梅雨前線が再度南下してくることは想定しにくい状況であったと言えます。ところが7月5日に梅雨前線は、北海道から1000km南の西日本へ一気に大ジャンプしましたが、この大ジャンプは台風7号の日本海通過によって引き起こされていたことが明らかになりました。 図2 7月3日の地表面気圧の分布の関係。横方向に左から西日本・日本海・北海道の位置をとり、縦軸に気圧の高さを示す。オレンジ色が南から流れ込む暖気、水色が北から流れ込む寒気を表す。 その力学的過程は、西日本・日本海・北海道を結ぶ線で地表面気圧の分布の変化によって説明されます。図2・図3・図4は、それぞれ7月3日、4日、5日の地表面気圧の値を縦軸にとり、横方向に左から西日本・日本海・北海道の位置をとって模式的に表したものです。地表面付近の大気の大まかな流れは、気圧の高いところから低いところへ、その傾斜の大きさに従って起こっています(気圧の傾斜の大きさに伴って風を強める力を「気圧傾度力」といいます)。オレンジ色が暖気、水色が寒気、両者がぶつかるところが梅雨前線で、7月3日は図2のように北海道に位置していました。太平洋高気圧が夏に向けて発達していく中、暖気の押し込む力の方が優勢に働くため、そのまま日本全域で梅雨明けになるのが通常の流れです。 図3 7月4日の地表面気圧の分布の関係。横方向に左から西日本・日本海・北海道の位置をとり、縦軸に気圧の高さを示す。オレンジ色が南から流れ込む暖気、水色が北から流れ込む寒気を表す。 ところが、図3のように7月4日に日本海を通過した台風7号によって20hPaもの気圧低下が暖気内で生じました。すると、気圧の傾斜の大きさに従って、暖気内で台風の中心に向かう新しい大気の流れが生じ、北海道で寒気と対峙する暖気まで台風中心に引き込まれてしまいます。 図4 7月5日の地表面気圧の分布の関係。横方向に左から西日本・日本海・北海道の位置をとり、縦軸に気圧の高さを示す。オレンジ色が南から流れ込む暖気、水色が北から流れ込む寒気を表す。 その結果、図4のように7月5日には、優勢に押し込んでいたはずの暖気が、寒気の押し返す力に負けてしまい、北海道における梅雨前線の構造が破壊されて寒気が一気に台風中心にまで流れ込んできます。すると、寒気の先端、すなわち梅雨前線の構造が新たに西日本の北岸に形成されます。つまり、これが、梅雨前線が台風7号の日本海通過によって北海道から西日本への大ジャンプする仕掛けであり、西日本豪雨の始まりであったと言えます。 図5 7月6日の地表面気圧の分布の関係。横方向に左から西日本・日本海・北海道の位置をとり、縦軸に気圧の高さを示す。オレンジ色が南から流れ込む暖気、水色が北から流れ込む寒気を表す。 では、台風7号が日本海から太平洋へと東へ抜けてしまった後、すなわち7月6日以降はどのようになるでしょうか?それは、図5のように、地表面気圧の値は1007hPaから1008hPaほどに戻りますが、梅雨前線の位置は、西日本の北岸に固定されたままになります。なぜなら、寒気が日本海全域にすでに押し込んできているという状況は、台風がいなくなっても変わらないからです。一方で、太平洋高気圧ももともと十分に発達していたため、オホーツク海高気圧の寒気がそれ以上南下していくこともできません。このように両者が梅雨前線に押し込む力(南北方向の気圧傾度力)は拮抗し続けたため、梅雨前線が西日本の緯度でロックされる結果となりました。 【本当に過去に類例がなかったのか?将来に向けて何をなすべきか?】 こうした一連の流れは、従来の梅雨期の豪雨と比較して、2018年西日本豪雨が極めて特殊な発生過程であり、社会全体としての将来的な災害対策のタイムラインや基準作りの指針を与えるものです。また、本研究は、過去における梅雨前線豪雨の研究においても類似した前例がないため、多様な解析手法による再検証の継続が必要であり、今後追求すべき新たな科学的命題が生まれたとみることもできます。今後は、過去の類似例の検討や台風以外の低気圧でも劇的な南下を引き起こしうるのか、などの疑問を検証し、予測に資する研究が必要です。 たとえば、過去の資料で、梅雨末期に日本海を通過した台風をピックアップし、さらにその中からその通過直後に梅雨前線の大幅な南下がみられた事例を絞り込み、さらにそれによって豪雨が発生に至ったものがあるのか、という手順で探していくことになります。論文中では、2つの事例(2014年8/15-20の西日本豪雨や1997年の8/12-13の九州北部豪雨が台風2014年台風11号Halongと1997年台風11号Tinaの日本海通過直後に発生)に類似性があることを指摘しています。より長期間遡れば、他にも見つけられるかもしれませんので、そういった地道な調査の継続も将来の備えに向けて重要です。 モテサクの著書の印税は全額、豪雨災害被災地へ寄付しています。 「梅雨前線の正体」東京堂出版、2012年 ‬ 天気と気象について わかっていること いないこと 〜ようこそ、空の研究室へ〜ベレ出版、2013年

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