易しくて優しい科学の言葉

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5つの星では表現できないほど,私はこの本に感動しました.

とはいえ,読み手によって得るものや印象が様々だろうと思います.

しかし,どんな読み手にも有意義な「何か」を持っている本だと思います.

以下に,読み手の立場ごとにそれぞれにとっての
この本の素晴らしさを想像してみようと思います.

小中高生のみなさん:

読書感想文の課題図書としてこの本に出会えるみなさんが
とても羨ましいなと思います.

この本の読書感想文集みたいなのが出るなら,
僕は値段に関わらずすぐ買うと思います.

これだけの優しさと易しさを兼ね備えた科学の言葉に何を感じるのか,
心から惹かれます.

著者はある本をきっかけとしたのと同じように,
将来,何人かのみなさんが地球科学の入り口をくぐるのだろうな
とはっきり想像できます.

大人の文系のみなさん:

勝手なカテゴリは相応しくないかな,とは思いましたが,

「勿論興味はあるけど自分は文系だから
こういう科学的説明って理解できるのか不安」

っていう感覚を抱きがちな方を想像しています.

この本は安心して「理解できる」言葉で綴られていることは
間違いありません.

でも,この本のもっと魅力だと思えるところは,
「とても感情的に生きている科学者と
対等な目線で話しているような感覚」
かもしれません.

大人の理系のみなさん:
乱暴なカテゴリは相応しくないかな,とは思いますが,

「何かの仕組みを理解し,
何かにつけてそこに根付く論理をとても大事にする」

っていう感覚が当てはまる方を想像しています.

この本は表面的なことを「易しく」説明しているのではありません.

改めて考えてみると「知ってはいた」けど,
「理解できていなかった」たくさんのことを
真摯に伝えてくれる本です.

何かの分野の科学者のみなさん:

私自身は実はここに当てはまります(気象学).

私はこの本の「易しく優しい言葉」に,
最初の数ページから「著者の迫力」を感じました.

一体どれだけの場面をくぐり抜けて
鍛えられたらここまで簡潔で平易で
優しさを持った言葉を作り出せるのだろう,と.

「今伝えるべき内容がしかるべき相手に伝わるような言葉を
作るにはどうしたらいいのか?」

同業の専門家相手にすら私はそれにとても苦労していますし,
多くの科学者がそうだと思えます.

そうした視点からこの本の「易しく優しい言葉」を観ると
「著者の迫力」を誰もが感じとれると思います.

思慮のきっかけ,知的興奮,感動,将来すべきことへの前向きな精神,
様々なものが脳内を駆け巡る感覚で一気に読んだ後,
自分より年が下の著者に対して素直に深い敬意を覚えました.

motesaku
気象楽者 海洋研究開発機構 研究員 東京学芸大学教員養成課程 非常勤講師(地学実験・気象楽プログラム担当) 39歳 気象楽者。 2012年「梅雨前線の正体(東京堂出版,2015年現在3刷り)」を上梓し、気象学を童話的ストーリーで「文系だから・・・」と苦手意識を持つ人達にこそ伝え、楽しみ、共に考える取り組みを始める。 しかし、ただ親しみ、楽しむだけでは、天気・気象に「受け身」のまま、情報に振り回されてしまう人が多いことに気付き、「能動的」に天気と付き合い、向き合うための活動として、「サイエンスパフェ」を始める。 2013年「天気と気象についてわかっていることいないこと(ベレ出版)」を上梓し、気象学と日常生活を楽しみながら能動的に結びつけるための方法を提案する。 2014年4月「ニコニコ超会議・ニコニコ学会β」に登壇し、4万人の視聴者の前で「JAMSTEC・・・大丈夫か」と心配される。 NHK教育テレビ「学ぼうBOSAI」の出演・製作を経験し、災害情報発信の在り方を模索する中、講演依頼の増加に伴って、全ての人が災害を倒すためにできることに向き合う「災害バスターズプログラム」を立ち上げる。 生い立ちや赤裸々なプライベートはこちらを。 モテサク伝説@storys.jp

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